
マイページに作品情報をお届け!
透明人間の納屋
トウメイニンゲンノナヤ
- 著: 島田 荘司

昭和52年夏、密室状態のホテルの部屋から一人の女性が消え失せ、海岸で死体となって発見された。孤独な少年・ヨウイチの隣人で、女性の知人でもあった男は「透明人間は存在する」と囁き、納屋にある機械で透明人間になる薬を作っていると告白する。混乱するヨウイチ。心優しき隣人は犯人なのか? やがて男は外国へ旅立ち、26年後、一通の手紙がヨウイチのもとへ届いた。そこには驚愕の真相が記されていた! (講談社文庫)
昭和52年夏、日本海側のとある町。母子家庭に育った少年・ヨウイチは、友達に恵まれず孤独な毎日を送っている。そんな彼が唯一心を開き、尊敬しているのが、印刷業を営む隣人・真壁さんだ。心優しき真壁さんもヨウイチとその母に心を寄せ、ヨウイチにさまざまな話をしてくれる。外国には、花が咲き誇り、貧富の差もいっさいない理想郷が存在すると説き、お母さんも連れて一緒に行こうと誘う。その一方で、「透明人間はこの世にいるんだよ」などと不思議な話をすることもあるのだ。そうしたなか、密室状態のホテルの部屋から女性が消え失せ、海岸で死体となって発見されるという不可解な事件が起きる。被害者の女性は真壁さんのところへ出入りしていて、ヨウイチも見知った人だった。世間が事件の謎をめぐって騒ぎ出していたさなか、ヨウイチは真壁さん宅の納屋にある印刷機に興味を持ち、動かしてくれるようにねだるが、真壁さんはいつになく表情を固くし、じつはこの機械で透明人間になる薬を作っていると告白する。混乱するヨウイチ。真壁さんは殺人事件の犯人なのか? 疑念は深まり、ヨウイチは真壁さんに厳しい言葉を投げつけてしまう。やがて真壁さんは印刷業を人手に渡し、外国へ旅立っていく。そして26年後、一通の手紙がヨウイチのもとへ届いた。そこには驚愕の真相が記されていた!
オンライン書店で購入する
書誌情報
紙版
発売日
2012年08月10日
ISBN
9784062773393
判型
A6
価格
定価:576円(本体524円)
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2012年09月28日
JDCN
0627733900100011000R
初出
2003年7月「ミステリーランド」シリーズの単行本として刊行され、2009年2月にノベルスとして刊行されたもの。
著者紹介
1948年広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを飾る。以降『異邦の騎士』『斜め屋敷の犯罪』ほか名探偵・御手洗潔シリーズや『光る鶴』などの吉敷竹史刑事シリーズで人気を博す。小説の他にも日本人論やミステリー論など多くの評論もものしている。2008年より「講談社BOX」シリーズで『Classical Fantasy Within』を刊行中。また『写楽 閉じた国の幻』(新潮社)では新しい写楽説を示し、話題となった。「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「講談社『ベテラン新人』発掘プロジェクト」の選考委員を務めるなど、新しい才能を発見し世に送り出すことにも力を入れている。