笛吹川

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電子あり

笛吹川

フエフキガワ

講談社文芸文庫

生まれては殺される、その無慈悲な反復。
甲州武田家の盛衰と、農民一家の酸鼻な運命。

信玄の誕生から勝頼の死まで、武田家の盛衰とともに生きた、笛吹川沿いの農民一家六代にわたる物語。生まれては殺される、その無慈悲な反復を、説話と土俗的語りで鮮烈なイメージに昇華した文学史上の問題作。平野謙との<「笛吹川」論争>で、花田清輝をして「近代芸術を止揚する方法」と言わしめ、また後年、開高健をして「私のなかにある古い日本の血に点火しながらこの作品は現代そのもの」とも言わしめる。

町田康
一般の調節された言葉は、一族の多くの者がそのために殺害されたのにもかかわらず、それを、先祖代々お屋形様のおかげになって、と言い換えることができる。しかし、この小説の言葉は、そう言い換えてしまう人間の哀しみを描きつつ、それすらも無言の側に押し流してしまう。そして、その圧倒的で、どうしようもない事態は、始まりと終わりを持たず循環する。――<「解説」より>


Ⓒ酒井美雪

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書誌情報

紙版

発売日

2011年05月11日

ISBN

9784062901222

判型

A6

価格

定価:1,870円(本体1,700円)

ページ数

272ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

電子版

発売日

2020年09月11日

JDCN

06A0000000000239511F

初出

筑摩書房刊「深沢七郎集 第3巻」(1997年4月)を底本とした。

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