書店の価値を見直そう!

講談社と読売新聞はこれまで、豊かな人間性を養い、健全な民主主義社会を発展させるためには、活字文化や読書活動が欠かせないという認識のもと、それらの普及や推進に取り組んできた。「日本社会から書店が急速になくなりつつある現状を、このまま見過ごすわけにはいかない」という問題意識を共有し、ここに、必要と考えられる施策を両社で提言する。

Proposal 01 書店向けキャッシュレス決済手数料の引き下げを
クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済の増加により、その決済にかかる手数料が、特に小規模書店の経営を圧迫している。書店の衰退に歯止めをかけ、文化の拠点である書店を守るためには、韓国の制度も参考にしながら、キャッシュレス決済の手数料を引き下げ、書店の負担軽減を図ることが必須である。
Proposal 02 ICタグで書店のDX化を
RFID(Radio Frequency Identification)の機能を持ったICタグを出版物に挟み込み、在庫の電子管理を可能にする技術が実用化されている。これを導入すれば、棚卸し作業が効率化され、購買傾向の分析も可能になる。その結果、売れ残った本の返品を減らし、粗利益率を向上させることができる。ICタグは、出版社にとっても書店にとっても、導入・運営のコストが大きく、なかなか導入が進まないのが実情だ。業界で普及を急ぐとともに、国や自治体にも支援を求めたい。
Proposal 03 書店と図書館の連携を
書店が減少していく一方で、図書館も自治体の財政難で図書購入費が減り、国民1人当たりの貸出冊数が減少している。書店も図書館も、住民にとっては「本との出会い」の場であり、いずれも重要な「文化の拠点」だ。両者が連携して読書活動の振興を担い、読書人口を増やしていく取り組みを進める必要がある。
Proposal 04 地方創生へ、新規書店が出やすい環境整備を
地⽅の書店が減ることは、地⽅⽂化の衰退にもつながりかねない。都市と地⽅との「知の格差」が⽣じるのを防ぐことは、政府が最重要課題として掲げる地⽅創⽣という観点からも重要である。
Proposal 05 絵本専門士など活用し、読書教育の充実を
「読書離れ」に歯止めをかけるには、本に触れる機会を幼児期から増やす必要がある。各地で草の根的に行われている読書のフェアやイベントに、国や自治体はもっと目を向け、絵本専門士や認定絵本士、読書アドバイザーを派遣するなどの取り組みを積極的に進めていくべきだ。バリアフリー図書の拡充も重要だ。

メッセージ

2025年2月7日付の読売新聞朝刊にも掲載された「書店活性化へ向けた共同提言」の全文は、下記のボタンをクリックしてご覧いただけます。

講談社と読売新聞社は今回の共同提言にとどまらず、それぞれの持つ様々な媒体で識者や作家へのインタビュー記事を展開するなど、今後も書店活性化につながるような取り組みを続けてまいります。