
ガラスの麒麟
ガラスノキリン
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第48回日本推理作家協会賞受賞! 「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」通り魔に襲われた17歳の女子高生が遺した童話とは……。少女たちの不安定な心をこまやかに描く待望の連作ミステリー 「見てて」ぽつりと直子は言った。「今からテレビであたしのこと言うわ」 「何だって?」テレビはいつの間にかニュースに変わっていた。明るいグレーの背広に身を固めたニュースキャスターが、生真面目な口調で何か言っている。 〈……昨夜、女子高校生が何者かに襲われて死亡するという事件がありました。亡くなったのは同市内にある私立花沢女子短期大学付属高等学校に通う安藤麻衣子さんで……〉 「知り合いか?」 「知り合いって言うのかしら」直子は唇だけでかすかに笑った。…… 「あたしが安藤麻衣子なんだけどな」――(『ガラスの麒麟』より)
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ガラスの麒麟 新装版
発売日:2021年09月15日
17歳の女子高生、安藤麻衣子が通り魔に刺殺された。その同級生・直子を娘に持つ野間は、童話雑誌で挿絵などを描くイラストレーターだ。彼がこれから絵を手掛けようとしていた雑誌への応募作『ガラスの麒麟』の、安藤麻衣子は投稿者でもあった。事件の日から娘・直子は、安藤麻衣子が乗り移ったかのようなことを口走ったりして学校へ行かなくなる。心配な野間は安藤麻衣子の葬儀で出会った養護教諭の神野に娘のことを告白する。神野は、直子のことを知り安藤麻衣子のことにも詳しい女性だった。とびぬけて美しく、すべてに恵まれていた麻衣子の何が死を招き寄せたのか。彼女の書いた『ガラスの麒麟』のように、精一杯首を伸ばし背伸びして、だからとても不安定で壊れやすく細やかな少女たち。その心理を温かく描き、六つの物語を通じて真相に近づいていく連作ミステリーの傑作! 日本推理作家協会賞受賞作。