
カイエ・ソバージュ
カイエソバージュ
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神話を学ばないということは、人間を学ばないということに、ほとんど等しいかと思えるほどなのです――(本書より) 宇宙、自然、人間存在の本質を問う、はじまりの哲学=神話。神話を司る「感覚の論理」とは?人類分布をするシンデレラ物語に隠された秘密とは?宗教と神話のちがいとは?現実(リアル)の力を再発見する知の冒険。 この一連の講義では、旧石器人類の思考から一神教の成り立ちまで、「超越的なもの」について、およそ人類の考え得たことの全領域を踏破してみることをめざして、神話からはじまってグローバリズムの神学的構造にいたるまで、いたって野放図な足取りで思考が展開された。そこでこのシリーズは「野放図な思考の散策」という意味をこめて、こう名づけられている。――「はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について」より
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![人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ1[新装版]](https://dvs-cover.kodansha.co.jp/0000376122/iP28dRdeG2w2SRQVoeyyqNxo4S0NF5AgHFWszjhZ.jpg)
人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ1[新装版]
発売日:2023年07月13日
21世紀の「第三次形而上学革命」を迎えるにあたり、旧石器人類の思考、国家の誕生、貨幣の発生、神の創造と一神教の成立まで、「超越的なもの」について、人類が考え得た全領域を踏破することをめざした伝説の講義録が、愛蔵版として装いも新たに登場! 「神話」とは、人類が最初に考え出した、最古の哲学です。今日の「哲学」は、神話が切り開いた領土で、自然児の大胆さを失った慎重な足取りで進められた後追いの試みでしかないのではないかと思われるほど、神話には根源的な問いに対する人類の果敢な試みが保存されています。 神話を学ばないということは、人間を学ばないということにほとんど等しいかと思われるのです。 本書は、神話の持つ深遠な意味と神話で働く「感覚の論理」のイントロから始まります。 そして、神話がいかに歴史的・地理的な広がりを持っているか、そしてどのように「変形」を受けながら、伝播していくかを探ります。 実は、私たちの誰もが知っている「シンデレラ物語」も、本家フランスのシャルル・ペローによる物語だけでなく、グリム版、ポルトガル版、トルコ・ギリシャ地方、そして中国の唐代に書かれた『酉陽雑俎(ゆうようざっそ)』似た物語が存在しているのです。それぞれには、貧しく不幸な女の子が結婚というハッピー・エンドに至るという構造があります。 ヨーロッパ系のシンデレラ物語は、「外見的なものへの欲望」をひたすら追い求め、社会的仲介機能である結婚によりすぎているのではないでしょうか。アメリカ先住民のミクマク・インディアンは、ヨーロッパ伝来の「シンデレラ物語」をもとに、より精神性の高い「シンデレラ物語」を創り出しました。気高い魂を持つ「見えない人」のもとに竈の近くで焼けた髪と肌のまま、父からもらったぶかぶかの古いモカシン靴で出かけます。そこで見えない人は、彼女の美しい心に気づき、結婚へと至ります。 ところで、シンデレラたちは、なぜ靴が、片足だったり、ぶかぶかだったりするのでしょうか? ここには、オイディプス神話に通じる「死者」との交通という気の遠くなるような古代性へと私たちを誘うのです。 スリリングな知的冒険が、この本にはあります! 【目次】より はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について 序章 はじまりの哲学 第一章 人類的分布をする神話の謎 第二章 神話論理の好物 第三章 神話としてのシンデレラ 第四章 原シンデレラのほうへ 第五章 中国のシンデレラ 第六章 シンデレラに抗するシンデレラ 第七章 片方の靴の謎 終章 神話と現実 索引