
使徒的人間 カール・バルト
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宇宙の広がりの中に置かれた人類の目標を予見する言葉。 ──気鋭の文芸評論家、渾身の快著── カール・バルトが、生涯自らの仕事机の正面に掲げた十字架像。画家グリューネヴァルトの描く、ヨハネ像のたくましく指さしている姿のわきに、「彼は必ず栄え、わたしは衰える」の文字が刻まれている。これこそ、使徒的人間の、ヨハネが指さしている方に対する立場である。すなわち、重大なのは、対象である神そのものであり、それを語り、指さす者ではない。これが聖書の“批評的”明察である。
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使徒的人間──カール・バルト
発売日:2012年06月09日
聖書のもつダイナミズムを解き放ち、人間の救済を志向する。 理性への信頼に基づく近代主義、あるいは人間中心主義を根底とした自由主義神学の内部から、それを打ち破るかのように登場したカール・バルト。神学を人間学へと解消する潮流に抗し、キリストと行動をともにした使徒によるドキュメントとして聖書をとらえ、神の言葉と啓示がもつ直接性の復活を果たす。使徒という存在に近代の超克を読みとり、来るべき人間として思想と文学の起点にすえる、画期的な長篇評論。 佐藤優 使徒は、人間を救済するという自覚を持つ人間だ。この救済は、個別具体的である。救済の一般理論は存在しない。(略)神の存在が生成において人間に理解されることに対応し、富岡氏の思想的営為も常に生成過程にある。イエス・キリストという名に徹底的に固執することによって、日本人の歴史物語、特に天皇と救済の関係について、いつか適切な言葉が見つかることを信じながら、富岡氏は評論活動を展開しているのだと私は見ている。――<「解説」より> ※本書は、講談社刊『使徒的人間――カール・バルト』(1999年5月)を底本として使用しました。