桃太郎の母 ―ある文化史的研究―
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桃太郎の母

モモタロウノハハ

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日本民俗学の成果を、比較民俗学的研究と結合することにより、歴史家の捨ててかえりみなかった昔話の中から、人類太古の大地母神の信仰を掘り出し、母性の姿を消しゆく過去の記憶から引き出して、人類文化史の重要な一側面に解明の光を投じた「桃太郎の母」ほか、「月と不死」「隠された太陽」「桑原考」「天馬の道」「穀母と穀神」の5編を収録。汎人類的な視野と精緻な方法論、豊富な文献の駆使によって、人類文化史の一側面に画期的考察を加えた名著。

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新訂版 桃太郎の母
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新訂版 桃太郎の母

発売日:2007年09月12日

桃太郎、一寸法師、ハナタレ小僧様、瓜子姫…… これらの「小サ子」は、なぜ水界に関係しているのか? 人類学の名著が、新解説(小松和彦)を加えて完全版で待望の登場 桃太郎や一寸法師の中に見られる〈水辺の小サ子〉の背後に潜む母性像の源流を原始大母神と子神にまで遡る。併録の「月と不死」「隠された太陽」「桑原考」「天馬の道」「穀母と穀神」はいずれも、数万年のスパンで人類の精神史を描く、壮大な試みに取り組んだ画期的考察である。口絵図版を追加して復活し、さらに、日本民俗学の第一人者である小松和彦の解説を加えて、名著がここに甦る。 わたしが石田の仕事を再考しながら気づいたことの一つは、意外に思うかもしれないが、フランスの構造人類学者クロード・レヴィ=ストロースの試みとの類似であった。(略)石田より5年ほど遅れて1908年に生まれたレヴィ=ストロースもまた、文化人類学とか民族学といった学問に、太古の人類文化を明らかにするという壮大な人類史の構築の夢を託していたらしいということである。(略)方法も結論もまったく違っていたが、石田もレヴィ=ストロースも共に太古の時代までも視野を広げた人類の壮大なドラマを人類学という学問を通じて思い描いていたのである。(略)ひるむことなくいかにしてその壮大な夢を引き継いでいくかを改めて考える時に来ているのである。――<小松和彦『新訂版 桃太郎の母』解説より>

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