雨月物語(上)
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雨月物語

ウゲツモノガタリ

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安永天明期の暗い世相、他人や自分までが怪しく得体の知れぬ異界の妖霊のように見えてくる時代社会の中で、そういう仮象の向う側に人はどこまでその人間的な実体に迫りうるものなのか、を問いつめた怪異小説。当代知識人の知的な苦悩に正面からいどみ、知的な文体を極限まで展開して、そこに人間が人間に出会いうる可能性を探った上田秋成の内的力動を伝える代表作品。古今東西の怪異小説中、秀抜傑出、深い感銘を与える。(全二巻)

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新版 雨月物語 全訳注
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新版 雨月物語 全訳注

発売日:2017年03月11日

上田秋成が遺した、江戸中期を代表する怪異小説集。安永5年(1776)刊、5巻9編。執念は彼岸と此岸を越え、死者との対話を繰り広げる。それは夢幻か、現実か――。現代語訳に語注、考釈も加えた決定版。 慕っていた崇徳上皇の御陵に参った西行が見たものとは? ――「白峯」 病に倒れた旅の武士。逗留先の学者と兄弟のちぎりを交わすが――「菊花の約」 怠け者勝四郎、都に上ると里は戦禍に塗れる。そして愛する妻は――「浅茅が宿」 絵が得意な三井寺の僧・興義。求める者には自作画を欲しがるまま与えながら、鯉の絵だけは頑として手放さなかった――「夢応の鯉魚」 高野山へ物見遊山の親子。「仏法」と鳴く鳥に応え歌など詠むも、そこに武士たちが現れ――「仏法僧」 吉兆なら湯が沸き上がるという釜。若い夫婦が祈願したが、釜は虫の声ほどの音も立てなかった――「吉備津の釜」 雨宿り先で邂逅した美しい女を追いかけ、幸せに暮らすはずが――「蛇性の婬」 遊行僧を泊めた老人は、紺染の頭巾をかぶり、「鬼」になった僧の話を始め、あることを懇願した――「青頭巾」 武士・岡左内は、度を越した倹約ぶりで奇人とまで言われた。ある日、黄金の精霊と名乗る老人が枕もとに現れる――「貧福論」

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