イトウの恋
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イトウの恋

イトウノコイ

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「旅の時間は夢の時間」とあの女(ひと)は言った。人生はいつも誰にも不可思議なもの――。 ヴィクトリアントラベラーに恋した男の手記をめぐる、心暖まるラヴストーリー。 『FUTON』に続く会心の書き下ろし第2弾! 「ちっちゃな/ニッポンジン/そのクルマ 仔馬に/引かせて/カタカタと 歩いて/走って/丘を越えて やがて/消えてく/ヨコハマへ」 彼女があの不思議な物語を読んでいて、私がそばにいって、なにが書いてあるの、と訊ねると、彼女は昔、昔のお話、と答えたものだ。昔、昔、ヨコハマのお話、と。昔、昔、ヨコハマのお話?そう。昔、昔。ヨコハマのお話。ちっちゃなニッポンジンの話? と私が言うと、彼女は私を抱き上げて笑った。そう。昔、昔、ヨコハマの、ちっちゃなニッポンジンのお話よ。――<本文より>

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イトウの恋
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イトウの恋

発売日:2008年03月14日

「私とあなたはまた旅に出ましょう」 日本が西洋と出会ったばかりの時代の、切ない恋の物語。 「文学史上屈指の「通訳文学」の誕生である。」――鴻巣友季子 維新後間もない日本の奥地を旅する英国女性を通訳として導いた青年イトウは、諍いを繰り返しながらも親子ほど年上の彼女に惹かれていく――。イトウの手記を発見し、文学的背景もかけ離れた二人の恋の行末を見届けたい新米教師の久保耕平と、イトウの孫の娘にあたる劇画原作者の田中シゲルの思いは……。

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