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イトウの恋
イトウノコイ
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「旅の時間は夢の時間」とあの女(ひと)は言った。人生はいつも誰にも不可思議なもの――。 ヴィクトリアントラベラーに恋した男の手記をめぐる、心暖まるラヴストーリー。 『FUTON』に続く会心の書き下ろし第2弾! 「ちっちゃな/ニッポンジン/そのクルマ 仔馬に/引かせて/カタカタと 歩いて/走って/丘を越えて やがて/消えてく/ヨコハマへ」 彼女があの不思議な物語を読んでいて、私がそばにいって、なにが書いてあるの、と訊ねると、彼女は昔、昔のお話、と答えたものだ。昔、昔、ヨコハマのお話、と。昔、昔、ヨコハマのお話?そう。昔、昔。ヨコハマのお話。ちっちゃなニッポンジンの話? と私が言うと、彼女は私を抱き上げて笑った。そう。昔、昔、ヨコハマの、ちっちゃなニッポンジンのお話よ。――<本文より>