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影十手活殺帖
カゲジッテカツサツチョウ
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遂に出た、新ヒーロー! 逃げ来たる女の背後にひそむ謎。青年和三郎の正義感と野村市助のユニークな眼差が光る新しい時代ミステリーの秀作! 石段の尽きるところに、樟の大樹が生えている。その樹下に佇む頬被りの女のもとへ、どうやら男は歩をすすめているようだ。男が石段をのぼりきると、女は頬被りをとった。 投島田の髷に縁取られたおもては、なかなかに美しいが、どこか妖しげに崩れたところがある。堅気の女ではあるまい。 「小春ゆうのは、あんさんか」 男の口調は苛立っている。 「よう来てくれはりましたなあ、紙治はん」 小春とよばれた女は、頭をさげた。 「馴れ馴れしゅうよばんといてんか。こっちは、あんさんがどこの何者んや知らんのさかいな」 「北の新地の女におます」――「入聟菊之丞」から
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影十手活殺帖
発売日:2002年06月14日