月の塵
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月の塵

ツキノチリ

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心にしみる音がききたい 父露伴ゆずりの好奇心と細やかな感性で日常を捉え自然をみつめる。いさぎよく豊かに生きた著者の晩年の清澄な心境を映すみずみずしい随筆58篇。 くらしの中にはたくさんの音がある。あり過ぎるからいちいちかまっていられなくて、自然に取捨選択して、必要な音にだけ注意する。それは当然だ。ただ、当然だけでなく、時にもう少し情感を上乗せしてみてはどうだろうか。私は楽しみをさがすような気持で、身辺の雑音に耳をたてる癖がついている。些細なことだが、これが案外おもしろく心に残ったりする。といっても私が特別にいい耳をもっているわけではないが、多分こういったら納得して頂けると思う。つまり私は、さがしたがりや、楽しみたがりやなのだ、と。──本文より

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月の塵
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月の塵

発売日:1997年05月14日

父・露伴が重態の床で教えてくれたのは、「母の座」というもの。家事雑用、浮世談義、自然への手引きに、一生残るような教えをしてくれた父。胸にまいた古い種が発芽し、奔走した塔の再建、木や荒涼とした崩れへの思い入れなど、晩年の心境を、研ぎ澄した五感が映す、心にしみる58篇。幸田文の息吹きを伝える随筆集。

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