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宋の太祖 趙匡胤
ソウノタイソチョウキョウイン
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この男に会えば、惚れる。 武勲に加え、智恵と徳により頂点に推され、もっとも愛された皇帝 武人ながら、宋を建国、文治政治を推進した名君の生涯を描く中国歴史小説 乱世に生を受けた男子として、皇帝になりたいと思う。それは否定できない。だが、一武将でいたほうが楽なのもたしかだ。「おまえは気楽でいいな」と、柴栄(さいえい)はときどきつぶやいていた。地位に付随する痛みを受けとめることが、自分にできるだろうか。「あまり考えこむのは、兄上らしくありませんよ」辺りをうかがって、趙匡義(ちょうきょうぎ)が言う。「いつものように笑って、みんなの期待にこたえてください」「そうだな」期待を裏切らない、と決めたのは、いつのことだったか。目を輝かせて決断を待つ弟の顔に、今まで出会ってきた友人や、女や、部下たちの顔が重なった。――<本文より>