
装幀=菊地信義の本
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書く人と読む人がであう場所=装幀に未現の嶺野を拓きつづける菊地信義が、20年の軌跡をあざやかに結晶させて誘う1500点の〈本〉の饗宴。 ●架空のオペラ 菊地信義氏の方法は、本をテクストとして徹底した読みを企てることである。徹底した読みの果てに、私の「鳳仙花」なら若沖の鳳仙花を、古井由吉氏の「槿」なら朝顔を、さながら本それ自体が描いたスーパーリアリズムのように使用する。その本のスーパーリアリズムとは、本が単に印刷した紙の束でもない、書かれてある文字の意味や象徴の集積ではない、書物であり同時に資本投企された商品であり、高度に成熟した印刷技術や流通を通った、ただ今となっては「本」としか名づけようのないものの隈取りである。ランボー言うところの、宙に浮いた架空のオペラ、それが菊地信義の手によって現前されたこれら、「本」である。
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装幀=菊地信義の本 1988~1996
発売日:1997年08月29日
書く人と読む人がであう場所=装幀に未現の嶺野を拓きつづける菊地信義が、20年の軌跡をあざやかに結晶させて誘う1500点の〈本〉の饗宴。 ●架空のオペラ 菊地信義氏の方法は、本をテクストとして徹底した読みを企てることである。徹底した読みの果てに、私の「鳳仙花」なら若沖の鳳仙花を、古井由吉氏の「槿」なら朝顔を、さながら本それ自体が描いたスーパーリアリズムのように使用する。その本のスーパーリアリズムとは、本が単に印刷した紙の束でもない、書かれてある文字の意味や象徴の集積ではない、書物であり同時に資本投企された商品であり、高度に成熟した印刷技術や流通を通った、ただ今となっては「本」としか名づけようのないものの隈取りである。ランボー言うところの、宙に浮いた架空のオペラ、それが菊地信義の手によって現前されたこれら、「本」である。