村上龍映画小説集

村上龍映画小説集

ムラカミリュウエイガショウセツシュウ

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村上龍『69』以後、’70年代のほろ苦い青春を描く。 基地の街から出てきた東京は、ひどく退屈で、やるべきことは何も見つからなかった。麻薬とセックスと音楽に明け暮れた日々の中で、映画は強烈な魅力にあふれていた――。 20年振りに、ロサンゼルスで、ヨウコと再会した。センチュリー・シティにあるホテルのバーに現れたヨウコは、相変わらず痩せていて、化粧気がなく、ゆったりとしたニットのワンピースがよく似合っていた。わたし達は、バーが閉店するまでいろいろなことを話した。あんなにたくさんセックスしたのはあの時だけだったわよ、と7杯目のコニャックを飲んだ後でヨウコはそう言った。ボクも同じだ、と言うと、嘘つきなのは変わってないわね、とほとんど皺のないきれいな顔でヨウコは、楽しそうに笑った。

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村上龍映画小説集
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村上龍映画小説集

発売日:1998年04月15日

’70年代のほろ苦い青春を描く短編連作集。 ラストシーンを憶えてる?もちろんと僕は答える。あのラストシーンが好きなのとヨーコは言う、どこにも行かなくて済むっていうものを見つけなさい。基地の街から出てきた東京はひどく退屈で、麻薬とセックスと音楽に明け暮れる中で、映画だけは強烈な魅力にあふれていたのだ──。平林たい子文学賞受賞作。

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