忠臣蔵心中

忠臣蔵心中

チュウシングラシンジュウ

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かの近松門左衛門と堀部安兵衛は、実の兄弟! たぐい稀れな発想から近松、安兵衛、大石内蔵助さらに釣りの殿様津軽采女らを描き、元禄の世の人間ドラマをみつめた傑作長篇! 本所三ツ目の津軽屋敷にも、八重咲きの枝垂桜が、淡桃色の滝をつらねたように美しく咲き乱れている。小普請組の旗本、津軽采女は、花の向こうに北国のおそい春を思った。 (まだ雪の残る山に真っ白なこぶしの花が咲くと、浅瀬石川でアメマスが釣れだす。雪代で川が乳色に濁り、それがきれいに澄み渡ると、魚の食いが急に荒くなる……) 一瞬、采女の脳裡に、銀鱗をひらめかせる魚の姿がまざまざと浮かんだ。 (ああ、釣りがしたい……) 最後に采女が釣りをしたのはいまから8年もまえ、江戸湾の三枚洲へ釣舟を出した時だった。その日から半年もたたぬ元禄6年8月、綱吉によって“釣りと釣舟の禁止令”が出された。 (つまらぬ世の中じゃ……)──(本文から)

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忠臣蔵心中
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忠臣蔵心中

発売日:2003年01月15日

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