
帝国の落日
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未曾有の繁栄から世界大戦とインド独立で揺らぐ新世紀へ ローマを凌ぐ繁栄の頂点から大英帝国の衰退が始まった 英国歴史文学の最高傑作! ヴィクトリア女王即位60周年の盛大な祝典から3年半後の1901年1月、女王は崩御し、帝国の美徳も消えていった。大英帝国の落日が新世紀とともに始まったのである。海軍相チャーチル、アラビアのロレンス、インド独立の闘士ガンディーなど、多彩な群像が登場する帝国最後の栄光と悲劇を描く。 本書は1897年の、ヴィクトリア女王即位60周年記念の日にはじまり、チャーチルの葬儀の日で終わる。本立てのように本書を挟むこのふたつの式典の間のページから、大英帝国の終焉を見守り、綴ったときに私が抱いた賞賛、嫌悪感、楽しさ、憐れみ、誇り、妬み、驚きのない交ぜになった感情を、幾分かでも感じていただければ幸いである。――<「序文」より>
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帝国の落日 (下)
発売日:2010年09月07日
ついに私欲を捨てて死地に活路を見出した究極の選択 苦難の大英帝国が起死回生にかけた最後の決断とは 小説より面白い歴史ドキュメント 最盛期には世界の陸地と人口の4分の1を支配した大英帝国。しかし、2度の大戦による疲弊と、植民地経営に力を注いだ結果、自動車などの世界市場進出に出遅れる。帝国各地では民族独立運動が激化し、長年抑圧されてきた不満と恨みが一気に噴出した。窮地の帝国が活路を求めた最後の日々を追跡する。 なにしろ73日しかないのだ。ロンドンでは「インド独立法案」が、わずか1週間で成立し、統治権をすべて終結させると同時に、国王と藩王国のあいだで締結されていた協定もすべて廃棄された。マウントバッテンはデスクの上に大きなカレンダーを広げて、ロケット打ち上げのカウントダウンよろしく1日過ぎるごとにしるしを付け、インド在住の英国人たちは熱に浮かされたような決意をもって、みずからの最高権を埋葬する準備に奔走した。――<「第23章 1947年」より>