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土蜘蛛奇談
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――細い三日月の下、その男は橋のたもとに佇んでいた。夜風にふくらんだ長い袖。白皙(はくせき)の頬にこぼれかかる、つややかな髪――。天本の姿だ。しかし、敏生(としき)の喜びは束の間だった。男は敏生に手をさしのべることもせずに消えてしまった。あたかも雲隠れしてしまった月のごとくに――。追儺師(ついなし)・天本と半精霊・敏生。夢のなかの妖しを追って、たどりついた先とは……!? ――細い三日月の下、その男は橋のたもとに佇んでいた。夜風にふくらんだ長い袖。白皙(はくせき)の頬にこぼれかかる、つややかな髪――。 「天本さん……!」 (やっと会えた。やっと、僕を見つけてくれた) だが、敏生(としき)の喜びは束の間だった。男は敏生に手をさしのべることもせずに消えてしまった。あたかも雲隠れしてしまった月のごとくに――。 追儺師(ついなし)・天本と半精霊・敏生。夢のなかの妖しを追って、たどりついた先とは……!?
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土蜘蛛奇談(下)
発売日:1999年07月02日
「……教えてくれ。わたしは……誰だ」恋しい人と瓜2つの男は、美しい眉を歪めてそう言った。 「お前は、知っているのではないか。わたしが何者か……本当の名を、何といったのか……」その、切れ長の目も、唇も。なにもかもがあの人と、寸毫(すんごう)も変わらないのに──あまりの切なさに少年の瞳から涙が落ちる。追儺師(ついなし)・天本と半精霊・敏生。時の悪戯に引き裂かれたまま、魔性を降すことができるか!?