
唐玄宗紀
トウゲンソウキ
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「傾国の美女」というが、 女ひとりで国が滅びはしない―― 最強皇帝・玄宗に生涯忠誠を誓った宦官・高力士。 唐の繁栄を築いたふたりの転機は、楊貴妃との出会いだけだったのか? 気鋭の作家が新たな視点から描く、中国大河ロマン! 私は宦官であって、人ではございませぬ――。 宦官は主人を同一視して、欠落を忘れるのです。 中国史上唯一の女帝・則天武后の死後、乱れた唐朝を、果敢な行動力でまとめ六代皇帝となった玄宗。彼を支えた宦官・高力士は恩蔭系と科挙系で対立する官僚を使いこなし、唐の隆盛を築いた。だが、楊貴妃に溺れた玄宗が国を顧みなくなると、辺境から安禄山が台頭し、安史の乱を引き起こす。唐そしてふたりの命運は尽きるのか――。
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唐玄宗紀
発売日:2016年08月11日
則天武后以来の女禍の時代を終わらせ、唐全盛期をもたらした玄宗には影の如き名臣があった。唐6代皇帝、玄宗。彼が「将軍」と呼んだ宦官にして名臣に高力士(こうりきし)があった。二人は女禍の時代に幕を引き、開元の治と呼ばれる繁栄を実現する。しかしやがて、楊貴妃の出現、安禄山の大乱によって国は止め処なく乱れゆく。唐帝国最盛期をもたらした皇帝の一生とその影となり支えた忠臣を見事に描く歴史大河小説。 皇帝と忠義の宦官の大河長編。圧巻の面白さ! 則天武后以来の女禍の時代を終わらせ、唐全盛期をもたらした玄宗には影の如き名臣があった。 玄宗皇帝と「将軍」と呼ばれた名臣の波乱万丈。 唐6代皇帝、玄宗。彼が「将軍」と呼んだ宦官にして名臣に高力士(こうりきし)があった。二人は女禍の時代に幕を引き、開元の治と呼ばれる繁栄を実現する。しかしやがて、楊貴妃の出現、安禄山の大乱によって国は止め処なく乱れゆく。唐帝国最盛期をもたらした皇帝の一生とその影となり支えた忠臣を見事に描く長編歴史小説。 (本文より) 玄宗は四海の民を肩に乗せて屹立していた。その姿は眩いばかりの光輝を放っている。 「大家……」 高力士は身体の芯が熱くなるのを感じながら平伏した。玄宗は身の安全よりも民の幸せを優先しようとしている。このような考え方のできる皇帝が他にいたであろうか。玄宗の偉大さに改めて触れて、高力士はこれまでの人生を肯定されたように思った。この人を選んで、支えてきたのは間違いではなかった。