
二十歳のあとさき
ハタチノアトサキニジュッサイ20
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オリンピックを控え、改造されゆく東京で私は成人式を迎えた。 佃の渡しは廃止され、赤線は修学旅行生の宿になった。急激に姿を変える町で、少年期を脱皮していく仲間たち。ほろ苦くも懐かしい、自伝的青春小説。 その晩、店を閉めたあと、主人が私の前に、でんっと日本酒の一升瓶を据えた。 「二十歳おめでとう」そう言って、コップを私に受け取らせた。 「今夜から堂々と酒が飲めるわけだ。まず、これを干しなさい」とコップになみなみと注いだ。 「ゆっくり、ゆっくり、のどを鳴らさぬように飲む。一滴残らず、あけなさい」 主人は私の飲みっぷりを観察している。「よし」とうなずいた。――(本文より)
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二十歳のあとさき
発売日:2005年01月14日
哀しいほど純情な少年たちの青春群像。オリンピックを控え、急激に変貌を遂げていく東京。下町の古本屋で働く7人の少年たちが、勉強会を始めた。夢は独立開業。その資金のため共同で積み立て貯金を開始したが、青春期特有の人間関係の難しさに悩む。少年から大人へと脱皮するとき、誰もが味わうほろ苦い体験を優しい筆致で描く自伝的青春小説。(講談社文庫) 哀しいほど純情な少年たちの青春群像。オリンピックを控え、急激に変貌を遂げていく東京。下町の古本屋で働く7人の少年たちが、勉強会を始めた。夢は独立開業。その資金のため共同で積み立て貯金を開始したが、青春期特有の人間関係の難しさに悩む。少年から大人へと脱皮するとき、誰もが味わうほろ苦い体験を優しい筆致で描く自伝的青春小説。