
猫に満ちる日
ネコニミチルヒ
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満ちたりた猫と女のふたり暮らし 男とは暮らせなかった女が猫だけをみつめいとおしみやすらぎの時を共有した7千日 想い深く細緻な筆で描く傑作連作集 深夜、仕事から帰る私を、猫はいつも玄関の扉のところで待っていた。闇の中にひっそりとうずくまっている猫を見るたびに、私の心はしなびた袋から弾力のある柔らかな袋へと回復していく。夜気で冷えた体を抱けば、頬や首に触れる毛の1本1本から、迎えられている情感が広がっていくのだった。私は家に帰るのではなく、猫のいる場所に帰っていたのだ。猫に迎えられ、毛に包まれ、舌で顔中を舐められるために。──本文より
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猫に満ちる日
発売日:1998年07月24日
満ちたりた猫と女のふたり暮らし 男とは暮らせなかった女が猫だけをみつめいとおしみやすらぎの時を共有した7千日 想い深く細緻な筆で描く傑作連作集 深夜、仕事から帰る私を、猫はいつも玄関の扉のところで待っていた。闇の中にひっそりとうずくまっている猫を見るたびに、私の心はしなびた袋から弾力のある柔らかな袋へと回復していく。夜気で冷えた体を抱けば、頬や首に触れる毛の1本1本から、迎えられている情感が広がっていくのだった。私は家に帰るのではなく、猫のいる場所に帰っていたのだ。猫に迎えられ、毛に包まれ、舌で顔中を舐められるために。──本文より