崩れ
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崩れ

クズレ

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緑豊かな自然のなかで山が崩れ、河が荒れる。崩れ その風景はなんと切なく胸に迫るものか。生あるものの哀しみを見つめる最後の長篇 この崩れこの荒れは、いつかわが山河になっている。わが、というのは私のという心でもあり、いつのまにかわが棲む国土といった思いにもつながってきている。こんなことは今迄にないことだ。私は自分がどんなに小さく生き、狭く暮してきたか、そしてその小さく狭い故に、どうかこうか、いま老境にたどりつけたと、よくよく承知している。──本文より

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崩れ
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崩れ

発売日:1994年10月05日

山の崩れの愁いと淋しさ、川の荒れの哀しさは、捨てようとして捨てられず、いとおしくさえ思いはじめて……老いて一つの種の芽吹いたままに、訊ね歩いた「崩れ」。桜島、有珠山、常願寺川……みずみずしい感性が捉えた荒廃の山河は、切なく胸に迫る。自然の崩壊に己の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた名編。

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