亡き母や
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亡き母や

ナキハハヤ

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遠い記憶のなか満開の櫻の下に母がゐる 処女作から六十年 傘寿をこえて ゆかりの人を尋ね 辿り直した母の生涯 風格とおかしみのある自在の筆で描く傑作連作長篇 齢とるにつれ、自分の癇癪持ちで短気な、場合によつて火のついたやうになる性癖が、独自の個性でも何でもなく、単に亡母の遺伝子をそつくり受け継いでゐるだけのことではないかと、段々さう思ふやうになつて来た。とろくさいのが嫌ひ、べとべとするのが嫌ひ、「つめたい」とか「情緒に欠ける」とか、周りの者から時々非難されるけれど、割り切れるものははつきり割り切つて置きたい方で、その点も母と私と似てゐる。――(本文より)

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亡き母や
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亡き母や

発売日:2012年02月11日

歳月の流れの中で見送ってきた人々。母を語り、父を語り、そして自らの人生を見つめる。いつしか別離の繰り返しとしての家族史・・・。おかしみを湛えながらも、芳醇な文章で綴った阿川弘之の自伝的到達点。作家の、肉親への、哀惜を込めた長篇小説。 母を思い父を語り、自らの原点をさぐる長篇小説。 歳月の流れの中で見送ってきた人々。母を語り、父を語り、そして自らの人生を見つめる。阿川弘之の過去、現在、未来は、いつしか別離の繰り返しとしての家族史となる。おかしみを湛えながらも、芳醇な文章で綴った著者の自伝的到達点。作家の肉親への哀惜をこめた長編小説。 小山鉄郎 これら阿川家の息子・娘の癇癪の遺伝子に接してだろうか。自分の癇癪持ちは「独自の個性でも何でもなく、単に亡母の遺伝子をそっくり受け継いでいるだけではないか」と阿川さんは思うようになってきた。「このけったいな遺伝子の出所を調べてみたい」と思って書かれたのが、この家族小説である。――<「解説」より>

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