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恋の休日
コイノキュウジツ
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第121回芥川賞候補作品を緊急出版!! ’95年「午後の時間割」第14回海燕新人賞、’98年『おしゃべり怪談』第20回野間文芸新人賞受賞。若者の今風な生態の中にも深い悲しみが翳を落とす作品集 悲しみの淵に潜っていって戻ってきた者だけが知っているあまりにも透明なせつなさ 「そういえば私ねえ、学校で嘘つきフィンって呼ばれてたことあるんだよ」 フィンは煙がうすく消えていくのを眺めながら言った。 「嘘つきフィン?」 「うん。フィンっていうのはあだ名」 「へえ。なんでフィン?」 「顔が丸くてマフィンみたいだから」 「ひでえ」 良一が咳こむように笑った。