蝋涙
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蝋涙

ロウルイ

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ひそやかな想い自伝的作品集 自らの軌跡を重ねて生の深奥を描く名作7篇。 記憶の底にある雪の夜の出来事から甦る若かった頃。 あなたの涙はさみしくて…… 死者への語りかけは、私自身への語りかけである。私は、ふたたび真珠に向かって語りかける。 ――大ちゃん、これはあなたの涙。大きな大きな涙。涙の玉の中に蝋の雫が散らばってるわ。いいえ、あれは雪。雪の中を遠ざかって行く男女のうしろ姿が見えるわ。上背のあるひとが小柄な娘を背負っているようだわ。身勝手な娘で、あくる日には背負ってくれたひとをわすれてしまったんですけど、あの夜はそのひとを慕っていたのよ……。――本文より

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蝋涙
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蝋涙

発売日:2002年04月16日

蝋の雫のような真珠のアクセサリー。それを見るたびに蘇る、密やかな思い……。若き日への感傷をつづる表題作をはじめ、娘の出生に疑問を持つ父親の愛憎を描く「渚にて」や、夫婦の日常を通じて「老い」を語る「冬の月」など。人生の深奥を見つめた、珠玉の名作7編を収録。第38回女流文学賞に輝く、自伝的作品集。この7つの物語の中にきっと、あなたもいる。 誰もが経験する、生と死、愛と性、青春と老い、そして希望と悔恨。

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