
かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。
カワイイダケジャナイワタシタチノカワイイダケノヘイボン
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今、最も注目される詩人・最果タヒが紡ぐ、初めての長編小説――。きみがぼくに使うかわいいという言葉が、ぼくを軽蔑していない、その証拠はどこにあるんだろう。好きとも嫌いとも言えないなら、死ねって言っているようなものだと、いつだってきみは、怒っている。ぼくは、きみを好きでも嫌いでもないまま、優しくありたい。かすかな、死の気配でありたい。 詩集『死んでしまう系のぼくらに』で世界を震わせた、 今、最も注目される詩人・最果タヒが紡ぐ、初めての長編小説――。 少女たちは、いつだって青春を戦っている。 ============================== きみがぼくに使うかわいいという言葉が、ぼくを軽蔑していない、その証拠はどこにあるんだろう。好きとも嫌いとも言えないなら、死ねって言っているようなものだと、いつだってきみは、怒っている。ぼくは、きみを好きでも嫌いでもないまま、優しくありたい。かすかな、死の気配でありたい。 愛情で語れる友情は、ただの代替品でしかない。 きみが孤独なふりをするあいだ、ぼくはきみと友達でいる。光る波がおしよせて、ひいていく。きみの足首がぼくと同じで、ただそこにあることを、だれにも証明ができない。 孤独になれば、特別になれると、思い込むぼくらは平凡だ。制服がかろうじてぼくらを意味のあるものにしてくれる。 きみは、どんな大人になるかな。 あたりさわりのない、この世にいてもいなくても変わりない、誰かになるのかな。 幻滅が存在しないのは、友情だけだよ。海が告げる。きみは立っている。 ぼくの友達。 (詩・最果タヒ) ==============================
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かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。
発売日:2015年02月25日
今、最も注目される詩人・最果タヒが紡ぐ、初めての長編小説――。きみがぼくに使うかわいいという言葉が、ぼくを軽蔑していない、その証拠はどこにあるんだろう。好きとも嫌いとも言えないなら、死ねって言っているようなものだと、いつだってきみは、怒っている。ぼくは、きみを好きでも嫌いでもないまま、優しくありたい。かすかな、死の気配でありたい。 詩集『死んでしまう系のぼくらに』で世界を震わせた、 今、最も注目される詩人・最果タヒが紡ぐ、初めての長編小説――。 少女たちは、いつだって青春を戦っている。 ============================== きみがぼくに使うかわいいという言葉が、ぼくを軽蔑していない、その証拠はどこにあるんだろう。好きとも嫌いとも言えないなら、死ねって言っているようなものだと、いつだってきみは、怒っている。ぼくは、きみを好きでも嫌いでもないまま、優しくありたい。かすかな、死の気配でありたい。 愛情で語れる友情は、ただの代替品でしかない。 きみが孤独なふりをするあいだ、ぼくはきみと友達でいる。光る波がおしよせて、ひいていく。きみの足首がぼくと同じで、ただそこにあることを、だれにも証明ができない。 孤独になれば、特別になれると、思い込むぼくらは平凡だ。制服がかろうじてぼくらを意味のあるものにしてくれる。 きみは、どんな大人になるかな。 あたりさわりのない、この世にいてもいなくても変わりない、誰かになるのかな。 幻滅が存在しないのは、友情だけだよ。海が告げる。きみは立っている。 ぼくの友達。 (詩・最果タヒ) ==============================