葉桜の季節
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葉桜の季節

ハ"ザクラノキセツ

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瀬戸内の輝く光のなかで過した幼い日から今日まで出会いとわかれを繰り返した自らの生を四季の情景に重ねてたどる 郷里で暮していたころ、季節の移ろいは目に見えて鮮やかで、周囲の植物や土や山は、まさに刻々と色を変えていった。麦畑は、黄緑色から目を射るような緑へ、そして深い灰色がかった緑からさらには薄茶色へと、時間を確実に呑みこみながら変化していき、最後には刈られて、黒い大地と化すのだ。だから私は、季節というものは、色で表されるものだ、と思っていた。色が大気を染め、気温を変え、人々の心をぶ厚くしたり、透明にしたりあるいは鋼のように強靱にしたりするのだと思っていた。──本文より

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葉桜の季節
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葉桜の季節

発売日:1999年04月15日

季節の移ろいとともに、大地の色やにおいが変化するように、いつの日も心のままに生きてきた。……瀬戸内海の光を抱いて過ごした幼い日から今日まで、さまざまな出会いと別れを繰り返した自らの生を、四季の情景に重ねてたどる自伝的エッセイ集。性愛文学の極限を求めつづける著者の愛と生の原点が、ここにある。

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