
平将門と天慶の乱
タイラノマサカドトテンギョウノラン
マイページに作品情報をお届け!
坂東の地を揺るがした大乱はなぜ起こったか 東国独立国家を築き謀反人となった英雄の生涯 10世紀中葉、土豪・百姓を組織して坂東の地に兵を起こし、国府を陥れ「新皇」を称した平将門。時の中央政府に衝撃を与えた古代史上最大の叛乱、承平・天慶の乱である。大乱はなぜ起こり、何をもたらしたのか。乱を招来した律令制の問題点と当時の社会の諸矛盾、「武夫」の誕生を精緻に解明し、乱の歴史的意味を通して将門の実像とその時代を活写する。 坂東を舞台とした地方的争乱は、939年(天慶2)にいたって、いっきょに叛乱の様相をあらわにしてきた。1世紀を通して、地方社会の基本的部分に蓄えられていた諸矛盾が、いまや、一大叛乱のかたちをとって怒濤の勢いを示すにいたった。そこに、叛逆者に変貌した人物の姿容をくっきりと、うごきゆく歴史の前面に現わす。本書の主人公、平将門がその人である。――<本書「序章 平将門と武夫たち」より>
TOPICS

平将門と天慶の乱
発売日:2019年04月10日
■帝位「新皇」に就いて朝廷に刃向かった、唯一無二の「兵」■ 鎌倉幕府を築いた源頼朝、南北朝時代を終わらせた足利義満、 三職推任を打診された織田信長、天下一統を成し遂げた豊臣秀吉……。 いずれも時代が認める改革者であったにもかかわらず、 古い王朝を改めて最上の地位を望まなかったのなぜなのか。 その背景には、武威によって坂東を従わせ、新皇を名乗りえて 京都の朝廷を争った末に、非業の最期を遂げた平将門の存在があったーー。 未だ謎の多い将門の実像に迫る。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 皇居の大手門のすぐ前側に位置する東京・大手町ーー メガバンクや商社など名だたる巨大企業が本社を構える日本最大のオフィス街――に、 ぽつんと静かな霊場があるのをご存知だろうか? 10世紀に坂東(今の関東)を鎮定し、「新皇」に即位して、朝廷と争った平将門の首塚である。 都会の喧騒を払うように、清浄な気配を漂わせているが、 この地には見た目からちょっと想像できないような怨霊譚がいくつも伝え残されている。 はたしてそれらの伝説は本当なのか? 東京・大手町に存在する「日本史ミステリー」の真相解明にも挑む! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■本書のおもな内容■ 序章 怨霊伝説を検証する 中世の将門怨霊譚/近現代の怨霊譚 ほか 第1章 蔭子・将門の少年期 蔭子なのに叙任されなかった将門 ほか 第2章 遺領が招いた争族 出世街道を外れた理由/「田畠」に隠れていた軍事施設 ほか 第3章 平良兼・良正の襲撃と源護の策謀 敵将を見逃す将門の甘さ ほか 第4章 追捕使・将門の勇躍と逆襲 旧私君・藤原忠平の厚意を得た将門/富士山の噴火 ほか 第5章 坂東独立の風雲 「天慶の乱」について/改元時期の京都と坂東の不安 ほか 第6章 将門、新皇に即位す 坂東の民意から生まれた新皇/弟と側近の諫言 ほか 第7章 誰が新皇を殺したのか 京都へ逃げ出す国司たち/京都滅亡の危機 ほか 第8章 敗者の声と勝者の宴 英雄なき勝利のあと/永続する朝廷と将門への鎮魂 ほか 終章 神田明神と将門塚の興起 なぜ神田明神と将門塚が都内にあるのか ほか 付録 平将門関連年表