恋慕奉行(下)
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恋慕奉行

レンボブギョウ

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猫がコネズミをいたぶるように、阪田権太夫は、お柳を死の淵に追いおとして、ニンマリする。思えば、お柳が出生のときから、すでに権太夫は狙いをつけていたのだ。遠大な野望が権太夫にはある。――野望とは? 慈元寺にひそんで世を呪う、身分高い僧侶、お秋の方に所望した紀州家の秘文書「熊野党調書一件」、将軍・吉宗に不敵な抵抗をする熊野天狗……すべては権太夫の緻密な計算どおりに動いている。お柳を実の子と知りながら、その救出さえ覚束ない名奉行大岡越前守。上司・越前守の古傷を突くのを怖れ、知らず活動がにぶる好漢・半九郎。可憐なお柳の姿を胸に描きながらも――。<上下巻・完結>

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恋慕奉行(上)
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恋慕奉行(上)

発売日:2022年03月18日

母の形見の印籠1つを抱いて江戸へでてきたお柳には、正体のわからない、不吉な影がつきまとっていた。大事な印籠は僅かな隙に盗まれ、折角きまった奉公口も次々とこわされ、千住の宿場女郎に身をおとす破目となった。――見えない、呪(のろ)いの糸が、お柳を縛っている。もし、町同心・水木半九郎に夜釣りの道楽がなかったら、お柳はとうに死んでいたろう。半九郎の鋭いカンは、暗闇に嘲笑う覆面の武士の正体を見破った。彼の名は、阪田権太夫。町奉行・大岡越前守に不敵な挑戦を宣し、江戸を恐怖の巷(ちまた)に落とす男。越前守の弱点――恋の過ちを衝くだけに、名判官の苦渋は深かった。<上下巻>

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