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出雲神話
イズモシンワ
- 著: 松前 健

国引き、八岐大蛇、国譲りなど日本神話のなかで出雲の果たす役割はなぜか大きい。大和朝廷にとって幽界の地出雲とは、どのような意味を持っていたのか。本書は、記紀、風土記、神賀詞などの文献資料と歴史学、神話学の蓄積を縦横に駆使しながら、巫覡祭祀説によって出雲神話の実像を明らかにする。スサノオ、オオクニヌシ、スクナヒコナなどなじみぶかい神々の世界をとおして日本神話に新たな視点と生命を与えた。
2つの出雲神話の食い違い――『出雲国風土記』の多くの伝承の中で、記紀に共通もしくは近似の伝承があるかというと、ほとんど見出せない。また逆の場合もそうである。また記紀と共通して登場する神格にも、同じ物語は、ひとつも見あたらない。これは不思議なことである。簸の川の上流のできごととされるスサノオの有名な八岐大蛇の話も、『風土記』の大原郡斐伊郷の条を見ても、触れられていない。『古事記』のオオナムチの生い立ちの話にある、八十神によるさまざまな迫害や、根の国での試練の話も、『風土記』にはない。神々の神統譜も、どうやら記紀のそれとはかなり異なったかたちで考えられていたらしい。――本書より
目次
●出雲神話の謎
●2つの出雲神話
宗教王国としての出雲
●出雲国造家の台頭と自家の売りこみ
●スサノオの神話
人身御供譚の意味
●オオナムチの神話
●国譲り神話と諸氏族
フツヌシの神話と物部氏
●出雲土着の神々
書誌情報
紙版
発売日
1976年07月23日
ISBN
9784061158443
判型
新書
価格
定価:836円(本体760円)
通巻番号
444
ページ数
204ページ
シリーズ
講談社現代新書