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デパ-トを発明した夫婦
デパートヲハツメイシタフウフ
- 著: 鹿島 茂

19世紀半ば、パリに産声をあげた、世界初のデパート〈ボン・マルシェ〉。衝動買いを誘うウィンドウ・ディスプレイ。演奏会、バーゲンなど集客戦術。〈必要〉から〈欲望〉へと、消費のキイワードを一変させた天才商人、ブシコーとその夫人の足跡を追う。
「白」の展覧会――大売出しの始まり――バーゲンの終わった1月下旬のある寒い日、売上げの落ち込みを回避する方法はないものかと思案しながら窓の外の冬景色をぼんやりと見つめていたブシコーは、空から降ってくる粉雪に目をとめた。その瞬間、「白」という言葉が頭にひらめいた。業界用語では、白(ブラン)とは、リンネルや綿布などの白生地を使ったワイシャツ、ブラウス、下着、シーツ、タオル、テーブル・クロスなどのことを指す。ブシコーは、暮れの大売り出しと年頭のバーゲンのあと、春物を売り出すにはまだ寒いこの時期に、季節商品とは関係の薄いこの「白物」を集中的に売り出すことを思いついた。かくして、2月の初め「エクスポジシオン・ド・ブラン」と銘打った「白物」の大売出しが始まった。それは、エクスポジシオン(展覧会)というにふさわしい、ありとあらゆる白生地商品のオンパレードで、店内の多くの売り場がこの商品の展示のために使われ、店内はまさに白一色の銀世界と化した。――本書より
目次
●ブシコーとデパート商法
流行を自らの手で作りだす
「白」の展覧会――大売り出しの始まり
●欲望喚起装置としてのデパート
いい買物をしたという充実感
●教育装置としてのデパート
ライフ・スタイルの提唱
ステイタス・シンボルとしての子供
●管理の天才、ブシコー
サラリーマン人生の誕生
●利益循環システムとしての福利厚生
ブシコー夫妻と三千人の子供たちの店
書誌情報
紙版
発売日
1991年11月18日
ISBN
9784061490765
判型
新書
価格
定価:836円(本体760円)
通巻番号
1076
ページ数
238ページ
シリーズ
講談社現代新書
著者紹介
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