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自閉症からのメッセ-ジ
ジヘイショウカラノメッセージ
- 著: 熊谷 高幸

もの言わぬ、静かな子供たちが示す、優れた空間認識や記憶力。ときには破壊的なまでの、習慣や物事の同一性への固着。認知心理学を通じて見た自閉症が私たちに語る、人間の心と脳のしくみ。
循環する時――私たちは、時間を一次元的な軸の上を進むものとして解釈している。過去の出来事は時がたてばたつほど遠いセピア色の世界となっていく。だからこそ、自分にとっては時間の果てにあると感じられる誕生日の曜日を、息子にぴったりと当てられた母親は「怖いような」「気持ちの悪いような」気分になるわけである。しかし、自閉症者は、私たちがイメージしているような時間軸というものをはたして意識しているのだろうか。M君とN君は、カレンダーを記憶する方法は少し違っていた。しかし両名とも、カレンダーという二次元空間の上を移動しながら指定された日付の曜日を探しに当てていた、という点では共通している。つまり、彼らは地図を見ていたのであり、二次元的なパターンを操作していたのだということができる。――本書より
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目次
●発端となる謎
●脳の設計思想
●身体に現れた症状
●なぜオウム返しをするのか
●時間的世界と空間的世界
●カレンダー記憶のメカニズム
●健常児の中のカレンダーボーイ
●感情のファジィ曲線
●発達のバイパスづくり
●社会的な脳
書誌情報
紙版
発売日
1993年11月16日
ISBN
9784061491779
判型
新書
価格
定価:792円(本体720円)
通巻番号
1177
ページ数
224ページ
シリーズ
講談社現代新書