アメリカ南部

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アメリカ南部

アメリカナンブタイコクノウチナルイキョウ

講談社現代新書

「古き良き」大農園文化(プランテーション)。一方に、過酷な生活から花開いた黒人文学や音楽。合衆国史を重層的に彩り、今なおアメリカの深奥に生きる「南部(ディクシー)」世界。

メンフィスの夜――4月3日の夜、キング牧師は講演の中で、「私はもう山頂に到達したが、モーセのように「皆と一緒に約束の地に行くことはできないかもしれない」と暗示的なことを述べた。その講演は、皮肉にも翌日に起こった彼の運命を言い当てていた。ロレイン・モーテルの2階のバルコニーで、キング牧師はジェイムズ・アール・レイの凶弾に倒れた。全米はおろか、全世界で名の知れ渡っていた公民権運動家の暗殺の知らせは、全米を駈けめぐった。公民権運動の偉大な指導者が凶弾に倒れたという悲報を受けて、全米各地で暴動が発生した。私のいたローズ大学(Rhodes College)では、学生はダウンタウンに出かけないように申し渡された。そして、メンフィス市全域に夜間外出禁止令が出された。大学寮の窓の外を、武装した兵を乗せた軍の搬送車が通り過ぎで行ったときのことが、今でも鮮明な記憶として甦ってくる。幸いにメンフィスでは、大きな騒動は起こらなかった。しかし、公民権運動を推し進めていた人々の表情は、明らかに深い落胆のそれであった。――本書より


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目次

●綿花王国
●ミシシッピ・ハイウェイ
●二つの国家
●南部の英雄たち
●ウィー・シャル・オーヴァーカム
●ウィスキー醸造と禁酒主義
●ニューオリンズの名物レストラン
●南部音楽をめぐる旅
●リチャード・ライト――黒人文学の闘い
●ジミー・カーター――新旧南部を超えて

書誌情報

紙版

発売日

1995年06月16日

ISBN

9784061492530

判型

新書

価格

定価:792円(本体720円)

通巻番号

1253

ページ数

250ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

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