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新しい人よ眼ざめよ
アタラシイヒトヨメザメヨ

神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
<いま現在の僕とイーヨーの共生の意味があかるみに浮かびあがる。>
神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
リービ英雄
『新しい人よ眼ざめよ』は、innocence(無垢)の危機から始まる、ともいえる。(中略)ブレイクのinnocenceとexperience(経験)の歌が、おり交ぜている、という以上に、語りの言葉の一すじとなる、fatherとsonの詩が、「父親」たる語り手によって読まれている、だけでなく、読まれていること自体が物語の一主題となってゆく。このような「引用」のめざましい活かし方を一言で描ける文芸用語を、ぼくは知らない。――<「解説」より>
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目次
無垢の歌、経験の歌
怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって
落ちる、落ちる、叫びながら……
蚤の幽霊
魂が星のように降って、あし骨のところへ
鎖につながれたる魂をして
新しい人よ眼ざめよ
著者から読者へ
書誌情報
紙版
発売日
2007年03月06日
ISBN
9784061984677
判型
A6
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
400ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2014年11月28日
JDCN
0619846700100011000X
初出
1986年6月講談社刊講談社文庫『新しい人よ目ざめよ』を底本とし、多少振りがなを省き、著者による加筆訂正をおこなう。