村上龍映画小説集

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村上龍映画小説集

ムラカミリュウエイガショウセツシュウ

文芸(単行本)

村上龍『69』以後、’70年代のほろ苦い青春を描く。
基地の街から出てきた東京は、ひどく退屈で、やるべきことは何も見つからなかった。麻薬とセックスと音楽に明け暮れた日々の中で、映画は強烈な魅力にあふれていた――。

20年振りに、ロサンゼルスで、ヨウコと再会した。センチュリー・シティにあるホテルのバーに現れたヨウコは、相変わらず痩せていて、化粧気がなく、ゆったりとしたニットのワンピースがよく似合っていた。わたし達は、バーが閉店するまでいろいろなことを話した。あんなにたくさんセックスしたのはあの時だけだったわよ、と7杯目のコニャックを飲んだ後でヨウコはそう言った。ボクも同じだ、と言うと、嘘つきなのは変わってないわね、とほとんど皺のないきれいな顔でヨウコは、楽しそうに笑った。


書誌情報

紙版

発売日

1995年06月26日

ISBN

9784062076609

判型

四六

価格

定価:1,495円(本体1,359円)

ページ数

222ページ

初出

『IN★POCKET』1994年3月号~1995年3月号連載

著者紹介

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