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介子推
カイシスイ
- 著: 宮城谷 昌光

神気をたたえた名品の誕生!
介山のつかいか、一貫して重耳を守った青年剣士介子推の気概。「つらい、と何度か泣いた体験は、この小説が初めて」と著者が語る品格高い会心作!
どうも清明節のあたりにはよく雨が降るらしい。それはともかく、寒食というのは、1日中火をもちいない日で、その日は食べ物に火を通せないので、あらかじめ寒食用に料理をつくっておくのである。寒食の翌日、すなわち清明節から新しい火をもちいるのである。なぜそんな風習があるのか。それは中国全土の人々が介子推を悼んでいるというあらわれである。介子推が山にかくれたあと重耳が山に火をかけ、介子推のあらわれるのを待った。ところが介子推は下山せず、木を抱いてついに焼死したという伝説がある。後世の人々は介子推の忠節とこころざしの高さに感動し、その死を哀痛しつづけるため、火をつかわない日を国民的行事としてもうけたのである。なんという国民であろう。──「あとがき」から
書誌情報
紙版
発売日
1995年05月31日
ISBN
9784062077507
判型
四六
価格
定価:1,923円(本体1,748円)
ページ数
430ページ
初出
『季刊歴史ピープル』’95年陽春号掲載