ワシントンハイツの旋風

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ワシントンハイツの旋風

ワシントンハイツノカゼ

ひたむきに働く。ひたむきに恋をする。それが、昭和の青春!

山本一力、最初で最後の現代小説は、あの頃への憧憬を、ありったけ。
仕事もオンナも一所懸命 痛快!自伝的青春小説

「ここがワシントンハイツなの。こんなところ、見たことないでしょう」雅美が自慢げに胸を張った。真っ白に塗られたフェンスの先には、小高い丘が連なっており、どの丘も緑の芝生でおおわれていた。平屋の家が、その丘のなかに点在している。日曜日の午前中の陽を浴びて、芝生ではこどもたちがキャッチボールを楽しんでいた。走っている車は、大型のアメリカ車。幌を外したオープンカーも何台か見えた。日差しのなかで、こどもたちの金髪が艶やかに輝いている。「なんだよ、ここは」「だから、ワシントンハイツだって」「それがなんやら分からんきに、おんしゃあに訊きゆうがぜよ」要領を得ない妹の答えに、謙吾は焦れた。


書誌情報

紙版

発売日

2003年11月12日

ISBN

9784062115711

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

354ページ

初出

『小説現代』2002年12月号~2003年9月号

著者紹介

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