在日

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在日

ザイニチ

自分の内面世界に封じ込めてきた「在日」や「祖国」。今まで抑圧してきたものを一挙に払いのけ、悲壮な決意でわたしは「永野鉄男」を捨てて「姜尚中」を名乗ることにした。

わたしの原点になったのは、母(オモニ)だったのではないかとつくづく思うことが多くなった。あふれるような母性的心情と繊細さ。母はわたしの避難場所であったし、母もまたわたしを自分の繭の中で保護することを望んでいた。「在日」であり、同時に「文盲」であることは、終生、母に付きまとった「宿題」であったに違いない。「在日」であることが、わたしの思春期に暗い影を落とす宿命的な桎梏(しっこく)であったとすれば、母にとって「在日」を生きるとは、無念に失われた故郷の記憶を異国の地で新しく再生させることを意味していた。――<プロローグより抜粋>


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目次

第1章 朝鮮戦争のときに生まれて
第2章 在日一世が生きた意味――二人のおじさんの人生
第3章 「尚中(サンジュン)」が「鉄男」を捨てた夏
第4章 ドイツ留学――故郷と異郷
第5章 父の死と天皇の死と
第6章 社会的発言者へ
第7章 新たな疾風怒濤の時代へ
第8章 東北アジアにともに生きる

書誌情報

紙版

発売日

2004年03月25日

ISBN

9784062123228

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

236ページ

著者紹介

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