遍路みち

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遍路みち

ヘンロミチ

文芸(単行本)

楽しいことも嬉しいこともあったはずなのに……悔いのみを抱いて生きてゆく遍路みち
夫・吉村昭氏の死から3年あまり、生き残ったものの悲しみを描く小説集

洗面所のコップの中の2本の歯ブラシを見ると、1本も虫歯のないことを自慢していたことを思い出した。夫の母親が、おまえは口もとがいいね、と言っていたという話をからかいながら口にすると、かれはふざけて口角を少し上げて笑ってみせた。育子はその笑顔を思い出して嗚咽した。――<「遍路みち」より>


書誌情報

紙版

発売日

2010年04月03日

ISBN

9784062160988

判型

四六

価格

定価:1,760円(本体1,600円)

ページ数

206ページ

初出

収録作品参照

収録作品

  • 作品名

    消えた時計

    初出

    『群像』2004年3月号

  • 作品名

    木の下闇

    初出

    『群像』2006年10月号

  • 作品名

    遍路みち

    初出

    『群像』2009年7月号

  • 作品名

    初出

    『群像』2009年11月号

  • 作品名

    異郷

    初出

    『文學界』2010年1月号、2011年度・第37回川端康成文学賞受賞

著者紹介

既刊・関連作品一覧