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ドストエフスキー
ドストエフスキー
- 著: 山城 むつみ

ドストエフスキー世界の主人公たちの不同意が生み出す異和(ラズノグラーシエ)を切り口に、衝撃の文学の源泉に迫る! ドストエフスキー論の新たな金字塔!
文学史上最大の衝撃、ドストエフスキーとは何なのか?
気鋭の批評家が切りひらくドストエフスキー論の新たな地平。
ドストエフスキーの、いわゆる地下室的主人公たちは、ことさらに他者に対して天の邪鬼に反対し不同意を突きつけているように見える。しかし、彼らは、ほんとうは他者の言葉に強く引かれそれに自分の声を合わせたいのだ。ただ、それに声を合わせようとしてどうしても合わせることができないとき、協和と同意の合致点からのその微小なズレには激しい斥力を持つ異和が生じる。それは反論や不同意が産み出す反撥と似て全く非なるものだ。のみならず、そのような反撥よりもはるかに強烈な不協和、憤激を呼び起こすのである。本書は、そのような異和を、反論と不同意から生じる反撥と区別して「ラズノグラーシエ」と呼び、この強い斥力こそがドストエフスキーの世界の主な動力になっていると考えている。――<「まえがき」より>
第65回毎日出版文化賞[文学・芸術部門]受賞。
目次
まえがき
序章 ラズノグラーシエ──二葉亭四迷とバフチン
第一章 黄金時代の太陽──『悪霊』
第二章 ソーニャの眼──『罪と罰』
第三章 マリヤの遺体とおとなしい女──『作家の日記』
第四章 写真の中の死、復活、その臭い──『白痴』
第五章 逆遠近法的切り返し──『未成年』
第六章 カラマーゾフのこどもたち──『カラマーゾフの兄弟』
あとがき
参考文献
書誌情報
紙版
発売日
2010年11月27日
ISBN
9784062166508
判型
四六変型
価格
定価:3,960円(本体3,600円)
ページ数
554ページ
初出
収録作品参照
収録作品
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作品名初出
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作品名
ラズノグラーシエ―二葉亭四迷とバフチン
初出
「ドストエフスキー〔1〕」『文學界』2004年2月号(序章)
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作品名
黄金時代の太陽―『悪霊』
初出
「ドストエフスキー〔2〕」『文學界』2004年7月号(第1章)
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作品名
ソーニャの眼―『罪と罰』
初出
「ドストエフスキー〔3〕」『文學界』2005年12月号(第2章)
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作品名
マリヤの遺体とおとなしい女―『作家の日記』
初出
「ドストエフスキー〔4〕」『文學界』2007年3月号、「ドストエフスキー〔4〕承前」『文學界』2007年4月号(第3章)
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作品名
写真の中の死、復活、その臭い―『白痴』
初出
「ドストエフスキー『白痴』について」『群像』2008年8月号(第4章)
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作品名
逆遠近法的切り返し―『未成年』
初出
「ドストエフスキー『未成年』の切り返し」『群像』2009年4月号(第5章)
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作品名
カラマーゾフのこどもたち―『カラマーゾフの兄弟』
初出
「カラマーゾフのこどもたち」『群像』2010年7月号(第6章)