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村上春樹の短編を英語で読む1979~2011
ムラカミハルキノタンペンヲエイゴデヨムセンキュウヒャクナナジュウキュウカラニセンジュウイチ
- 著: 加藤 典洋

英訳された「短編」を徹底的に読み込むことによって、初めて見えてきた、小説家としての村上春樹の「闘い」。現代文学のトップランナーの核に迫る、決定版「村上春樹」論!
なぜ、村上春樹は世界を必要としてきたのか?
「中国行きのスロウ・ボート」「貧乏な叔母さんの話」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」という初期短編三部作の初々しさはなぜか。「午後の最後の芝生」「蛍」など、『羊をめぐる冒険』以後の「喪失」をめぐる短編はどこからやってくるのか。『パン屋再襲撃』にまとめられる『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』以後の短編群の達成は「マクシム」の崩壊という概念でくくれるのではないか。「TVピープル」「眠り」など、『ノルウェイの森』以後の短編には、極度の精神的失調と危機の刻印が認められるが、一方その後の「沈黙」「七番目の男」などには、その危機を通過して手にされた新境地が現れていること。「めくらやなぎと、眠る女」改稿をめぐる1995年の転回の意味を明らかにするには、村上春樹の短編世界という概念を必要とするだろうこと。英語での授業を踏まえて日本語で執筆するなかで、多くの発見があった。――<「あとがき」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2011年08月27日
ISBN
9784062170307
判型
四六変型
価格
定価:3,960円(本体3,600円)
ページ数
610ページ
初出
『群像』2009年9月号~2011年4月号