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美しき一日の終わり
ウツクシキイチジツノオワリ
- 著: 有吉 玉青

ある日父が弟を連れてきた。父が愛人に生ませた少年は秋雨と名乗り、美妙より八つ年下の異母弟である。実母を失くしてから希望を捨て孤独をつらぬく秋雨と、彼への思いを心の奥底に秘め生きてゆく美妙。二人は、住む人の無いかつて暮らした家で、会うことを決めていた。二人は庭を眺め、過去に思いをめぐらし、互いの来し方を語り合う。悲しいまでにひたむきに生きた男と、忍ぶ思いを持ち続けた女のすべてを、この一日に。
年老いて、なおつのる思い。五十余年の純愛が実を結ぶ一日(いちじつ)。
生涯を貫くひたむきで強い思いを端正に綴った、至極の恋愛長編小説
ある日、父が家に連れてきた少年は秋雨(しゅうう)と名乗り、美妙(びみょう)より七つ年下の異母弟であった。それから五十余年、互いへの思いを心の奥底に秘め、それぞれの人生を歩んだ二人は、取り壊しの決まった、古い家で再会する。ともに暮らした幼い日々をなつかしみながら、長い歳月を慈しむように来し方を語り始めた。生涯のすべてを一日に込めて、至高の愛の姿を描く恋愛長編小説の新境地。
目次
一 霧の香 ─きりのか─
二 光清けし ─ひかりさやけし─
三 色なき風 ─いろなきかぜ─
四 天、泣す ─てん、きゅうす─
五 浮き雲 ─うきくも─
六 夕紅 ─ゆうくれない─
七 空火照 ─そらほでり─
八 月夜影 ─つきよかげ─
書誌情報
紙版
発売日
2012年04月07日
ISBN
9784062175128
判型
四六
価格
定価:2,090円(本体1,900円)
ページ数
354ページ
初出
『小説現代』2010年9月号、11月号、2011年1月号、3月号、5月号、7月号、9月号、11月号