会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって

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会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって

カイシャイントハナニモノカカイシャインショウセツヲメグッテ

文芸(単行本)

果たして会社員は小説の主要な登場人物になりえるのか? 著者はこんな命題を抱え、会社員が主人公の古今の小説に切り込んでいきます。取り上げられるのは、源氏鶏太、山口瞳、庄野潤三、黒井千次、坂上弘、絲山秋子、長嶋有、津村記久子、カフカ、メルヴィル……。そこから見えてくるのは、自明なものとして受けとめられている「会社員」という言葉・存在に潜む謎だった。いったい、会社員とは何者なのか?


会社員が主人公の小説って、……おもしろいの?
誰も気づかなかった「会社員」の謎に迫る、まったく新しい文学論!

「普通のサラリーマン」とは、現代日本における凡庸な人生の代名詞である。(……)だが、そこに解くべき謎があることについて、私は強い確信を抱いている。――<「本文」より>

本書で取り上げたおもな小説
●源氏鶏太「英語屋さん」
●山口瞳「江分利満氏の優雅な生活」
●庄野潤三「プールサイド小景」
●黒井千次「メカニズムNo.1」
●絲山秋子「沖で待つ」
●長嶋有「泣かない女はいない」
●津村記久子「アレグリアとは仕事はできない」
●カフカ「変身」
●メルヴィル「バートルビー」ほか。


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目次

まえがき
1.ヒヨドリの羽ばたき
2.私が会社員だったころ
3.「サラリーマン」という言葉の二重性
4.「サラリーマン」という言葉の知られざる履歴
5.小説と職業生活
6.「経済小説」と会社員小説
7.会社員小説の射程
8.会社員小説の定義──階調の内にとどまる
9.会社員という視点
10.源氏鶏太の「サラリーマン小説」
11.会社員小説としての「プールサイド小景」
12.二等車の乗客
13.砂漠を旅する人
14.ゲームの空間
15.会社と家庭をへだてる川
16.法人としての会社員
17.会社員の誕生──岩崎彌太郎と初期三菱
18.会社の仕事と人間の労働──黒井千次の試み
19.会社員である「私」──坂上弘の遠い旅
20.会社員小説としてのカフカ「変身」
21.メルヴィル「バートルビー」──未来の人間
あとがき
注釈

書誌情報

紙版

発売日

2012年04月25日

ISBN

9784062176019

判型

四六変型

価格

定価:2,640円(本体2,400円)

ページ数

338ページ

電子版

発売日

2012年06月15日

JDCN

0621760100100011000G

初出

『群像』2010年7月号~2011年12月号 単行本化にあたり、大幅に改稿した。

著者紹介

著: 伊井 直行(イイ ナオユキ)

伊井直行(いいなおゆき)…1953年、宮崎県生まれ。83年「草のかんむり」で群像新人文学賞、89年『さして重要でない一日』で野間文芸新人賞、94年『進化の時計』で平林たい子文学賞、2001年『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞。他の著書に『お母さんの恋人』『青猫家族輾転録』『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』『ポケットの中のレワニワ』『岩崎彌太郎「会社」の創造』などがある。

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