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野生の科学
ヤセイノカガク
- 著: 中沢 新一
ガリレオ、デカルト以降、現代の原子核物理に至る近現代の「科学」=客観科学は、「自然」を人間の外部としてコントロールしようとします。レヴィ=ストロースはそれを「家畜化」と名付けました。その科学技術は、昨年この国で大惨事を引き起こしました。「科学」が覇権を握る近現代において、人類学や民俗学だけが、「科学」に細々と抗い、「野生型」の知識の豊かさが無尽蔵にあることを、明らかにしようとしてきました。その精神
ガリレオ、デカルト以降、現代の原子核物理に至る近現代の「科学」=客観科学は、「自然」を人間の外部としてコントロールしようとします。レヴィ=ストロースはそれを「家畜化」と名付けました。その科学技術は、昨年この国で大惨事を引き起こしました。「科学」が覇権を握る近現代において、人類学や民俗学だけが、「科学」に細々と抗い、「野生型」の知識の豊かさが無尽蔵にあることを、明らかにしようとしてきました。その精神を引き継ぎ・発展させ、豊かで、具体的で、世界・自然と交感する新しい科学の創造を提示していきます。
本書は、「野生の科学」の精神をもって、多岐に亘るテーマを扱っていきます。
「科学」を乗り越えるインターフェイスの思想。「自然過程」で働く〈不思議な環〉を組み込んだ新しい人間科学。神話的思考による「ねじれ」、贈与的「新経済学」、「穴の幾何学」による「心的トポロジー」。
柳宗理「民藝」運動、深沢七郎「普遍文学」。アール・ブリュット、アール・イマキュレ、現代美術と心の構造の関係、そして曼荼羅が表現する「心そのもの」。
稲荷山(京都・伏見)、甲州(山梨)、熱海をアースダイビング。その上で、「土地」と脳の関係を「野生の地図学」として抽出します。
Ⓒ中沢新一
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目次
序文
第一部 野を開く環
第1章 数学と農業
第2章 「不思議な環」を組み込んだ人間科学
第3章 頭上のコン
第4章 経済学とトポロジー
第5章 トポサイコロジー
第二部 知のフォーヴ
第6章 民藝を初期化する
第7章 二つの深澤七郎論
デリケートな分類
奇跡の文学
第8章 闘うアニミズム
第9章 クラと螺旋
第10章 アール・ブリュットの戦争と平和
第11章 変容の岬
第12章 ユングの曼荼羅
第三部 空間の野生化
第13章 稲荷山アースダイバー
第14章 甲州アースダイバー
第15章 熱海のアースダイバー
第16章 塔をめぐる二つのエッセイ
バベルの塔――コミュニケーションの神話
バベルの塔からストゥーパへ
第17章 Y字の秘法
第18章 野生の地図学
付録
自然史過程について
真の豊かさのための「モジュール・ケネー」
書誌情報
紙版
発売日
2012年08月02日
ISBN
9784062177443
判型
四六
価格
定価:2,420円(本体2,200円)
ページ数
484ページ
電子版
発売日
2019年06月28日
JDCN
06A0000000000118024X
初出
収録作品参照
収録作品
-
作品名初出
-
作品名
序文
初出
書き下ろし
-
作品名
数学と農業
初出
『新潮』2012年6月号 新潮社
-
作品名
「不思議な環」を組み込んだ人間科学
初出
書き下ろし
-
作品名
頭上のコン
初出
『群像』2008年9月号 講談社
-
作品名
経済学とトポロジー
初出
『群像』2008年12月号 講談社
-
作品名
トポサイコロジー
初出
『群像』2009年2月号 講談社
-
作品名
民藝を初期化する
初出
『すばる』2011年2月号 集英社
-
作品名
二つの深沢七郎論
初出
『デリケートな分類』:2011年9月 山梨県立文学館「深沢七郎の文学『楢山節考』ギターの調べとともに」図録。「奇跡の文学」同右での講演による
-
作品名
闘うアニミズム
初出
京都環境文化学術フォーラムスペシャルセッション「グローバル・コモンズをめざして~東日本大震災から考える未来への道~」2012年2月の講演による
-
作品名
クラと螺旋―新しい贈与経済のために
初出
マリノフスキ「西太平洋の遠洋航海者」増田義郎訳 講談社学術文庫 2010年への解説
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作品名
アール・ブリュットの戦争と平和
初出
CCAAアートプラザ展覧会「アール・イマキュレ 希望の原理」2009年での基調講演による
-
作品名
変容の岬
初出
東京都現代美術館の展覧会「トランスフォーメーション」公式カタログ 2010年所収
-
作品名
ユングと曼荼羅
初出
日本ユング心理学会編「ユングと曼荼羅」創元社 2010年所収
-
作品名
稲荷山アースダイバー
初出
書き下ろし
-
作品名
甲州アースダイバー
初出
『群像』2008年10月号 講談社
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作品名
熱海のアースダイバー
初出
『とーりまかし』2010年3月号 リクルート
-
作品名
塔をめぐる二つのエッセイ
初出
「バベルの塔―コミュニケーションの神話」:『季刊大林 タワー』2012年。「バベルの塔からストゥーパへ」:『東京人』2012年5月号 都市出版に加筆修正
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作品名
Y字の秘法
初出
『Prints21』2010年秋号 プリンツ21
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作品名
野生の地図学
初出
荒木茂編/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科「『仮想地球』の試み 地域と地球をつなぐ」2010年に加筆修正
-
作品名
「自然史過程」について
初出
『新潮』2012年5月号 新潮社
-
作品名
真の豊かさのための「モジュール・ケネー」
初出
瀬戸内国際芸術祭〔2010年〕での配布資料に加筆
著者紹介
中沢新一(なかざわ・しんいち) 1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、明治大学野生の科学研究所所長。思想家。 著書に『日本の大転換』『アースダイバー』、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)『森のバロック』(読売文学賞)『哲学の東北』(青土社、斎藤緑雨賞)など多数ある。
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