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被災鉄道 復興への道
ヒサイテツドウフッコウヘノミチ
- 著: 芦原 伸
第40回「交通図書賞」受賞! 3・11のあのとき、東北地方の太平洋湾岸には多数の列車が走っていた。生死を分かつ瞬間の緊急事態に、運行指令室、乗務員(運転士、車掌)、駅員はどう立ち向かったのか、乗客の不安と恐怖はどう和らいだのか――。「乗客・乗務員の死傷者ゼロ」震災後の復興しつつある鉄路を辿りながら、この奇跡を呼びこんだ精神と記憶を残す試み。
第40回「交通図書賞」受賞!
本企画は、紀行作家の第一人者である本著者が震災以降一貫して取り組んできた被災鉄道の復興プロジェクトの報告書であり、集大成でもあるルポルタージュ。
扱うのは常磐線、仙石線、気仙沼線、大船渡線、釜石線、山田線、三陸鉄道。みな東北地方の太平洋沿岸を走る鉄道だった。
あのとき走行中の列車は31本。乗客と乗務員は推定で約1800人。被害は駅の流失24、線路の破壊70ヵ所66キロ、橋梁の崩落119ヵ所。にもかかわらず、乗客・乗務員の死傷者はゼロだった。
なぜ、この「奇跡」が達成できたのか――これが本書の探求のテーマとなる。乗務員のマニュアルには地震時の対策はあっても、津波の時にどうするかの記載はない。彼ら乗務員・駅員が個々に冷静・沈着な判断を下し、乗客たちの協力的な行動や助言のおかげで、生還が果たされたのである。著者は現地へ10回以上通い、体験者や現地報道機関から収集した話を集大成して、「奇跡」の全体像を描く。
さらに、復興後の各線に実際に乗車した著者は、そこで各路線の事情を見聞し、未曾有の災禍の後に地方交通線はいかにして生き残るのか、その処方箋も描き出そうと試みた。
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目次
序章 東北は心のふるさとでもあった
第1章 常磐線 ―新地駅の衝撃
第2章 仙石線 ―運命が分かれた野蒜駅
第3章 気仙沼線 ―田んぼに横たわった列車
第4章 大船渡線 ―ドラゴンレールの危機一髪
第5章 釜石線 ―釜石駅、午後二時四六分
第6章 山田線 ―津軽石駅で何が起こったか?
第7章 三陸鉄道 ―早期再開が灯した希望の光
終章 復興する鉄道とその未来
書誌情報
紙版
発売日
2014年07月15日
ISBN
9784062190299
判型
四六
価格
定価:2,530円(本体2,300円)
ページ数
306ページ
電子版
発売日
2014年08月22日
JDCN
0621902900100011000Q
著者紹介
1946年生まれ。紀行作家、ジャーナリスト。北海道大学文学部卒業、1972年、鉄道ジャーナル社に入社。1976年に独立。1979年、編集会社(株)グループ・ルパンを創設。『旅ば~ん』(JR東日本発行)編集長などを経験し、現在は(株)天夢人Temjin代表。『旅と鉄道』(朝日新聞出版発売)編集長。日本旅行作家協会、日本ペンクラブ会員。 主な著書に『旅はひとり旅』(朝日新聞社)、『60歳からの青春18きっぷ』(新潮新書)、『ロシア一九九一、夏』(角川学芸出版)、『へるん先生の汽車旅行』(集英社インターナショナル)、『さらばブルートレイン!』『鉄道ひとり旅』『写真集 昭和の鉄道』『鉄道おくのほそ道紀行』(いずれも講談社)など多数。