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この冬の私はあの蜜柑だ
コノフユノワタシハアノミカンダ
- 著: 片岡 義男

高3の夏、水着姿で自転車に乗った美樹子が差し出した葡萄味のアイスキャンディーを、明彦は今もはっきり覚えている――(「愛は真夏の砂浜」)。かつての同級生、兄と妹、客と店員、編集者と作家、元夫婦。都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く。音楽、スニーカー、ラジオ……あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。
生きる切なさと夏の終わりのあの娘の涼しげな横顔。
思い止めていた告白が世界を変えていたかもしれなかったあの日。
そんなことを片岡義男さんの本を読むと思い出させてくれます。
――岡村靖幸(ミュージシャン)
片岡さんの小説はなんでこんなにクセになるのだろう。
この物語のなかでずっと生きていきたい。そんな叶わぬことを思ってしまった。
――窪美澄(作家)
西条美樹子と倉田明彦は高校の同級生。転居通知の葉書をきっかけに再会する。
高3の夏、水着姿で自転車に乗った美樹子が、葡萄味のアイスキャンディーを差し出したことを、
明彦は今もはっきりと覚えている。(「愛は真夏の砂浜」)
作家の矢吹優美子がひとり暮らしを始めた一軒家には、掘り炬燵が備え付けてあった。
友人の景子は、炬燵に入りに来る男性を口説くべきだと言う。
優美子はかつての同級生で俳優の修司に電話をすることに。(「この冬の私はあの蜜柑だ」)
かつての同級生、兄と妹、客と店員、編集者と作家、元夫婦。
都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く。
音楽、スニーカー、ラジオ……あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。
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目次
「愛は真夏の砂浜」
「いい女さまよう」
「銭湯ビール冷奴」
「春菊とミニ・スカートで完璧」
「フォカッチャは夕暮れに焼ける」
「ティラミスを分け合う」
「あんな薄情なやつ」
「蛇の目でお迎え」
「この冬の私はあの蜜柑だ」
書誌情報
紙版
発売日
2015年11月18日
ISBN
9784062197649
判型
四六
価格
定価:1,870円(本体1,700円)
ページ数
266ページ
電子版
発売日
2015年12月25日
JDCN
0621976400100011000B
初出
「愛は真夏の砂浜」…2012 Summer issue Vol.6 Sea Of Love、「いい女さまよう」…2013 Winter issue Vol.7 Sucker DJs、「銭湯ビール冷奴」…2013 Summer issue Vol.8 Bon Appetit!、「春菊とミニ・スカートで完璧」…2014 Winter issue Vol.9 Beats International、「フォカッチャは夕暮れに焼ける」…2014 Spring issue Vol.10 Sneaker Blues、「ティラミスを分け合う」…2014 Fall Special issue Vol.11 Illustrated, 「あんな薄情なやつ」…2015 Winter issue Vol.12 Radio Sweetheart、「蛇の目でお迎え」「この冬の私はあの蜜柑だ」は書き下ろし。
収録作品
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作品名初出
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作品名
愛は真夏の砂浜
初出
『IN THE CiTY』2012 Summer issue Vol.6 Sea Of Love
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作品名
いい女さまよう
初出
『IN THE CiTY』2013 Winter issue Vol.7 Sucker DJs
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作品名
銭湯ビール冷奴
初出
『IN THE CiTY』2013 Summer issue Vol.8 Bon Appetit!
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作品名
春菊とミニ・スカートで完璧
初出
『IN THE CiTY』2014 Winter issue Vol.9 Beats International
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作品名
フォカッチャは夕暮れに焼ける
初出
『IN THE CiTY』2014 Spring issue Vol.10 Sneaker Blues
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作品名
ティラミスを分け合う
初出
『IN THE CiTY』2014 Fall Special issue Vol.11 Illustrated
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作品名
あんな薄情なやつ
初出
『IN THE CiTY』2015 Winter issue Vol.12 Radio Sweetheart
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作品名
蛇の目でお迎え
初出
書き下ろし
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作品名
この冬の私はあの蜜柑だ
初出
書き下ろし
著者紹介
片岡義男(かたおか・よしお) 1940年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で作家としてデビュー。翌年発表した「スローなブギにしてくれ」で野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。小説『ロンサム・カウボーイ』『彼のオートバイ、彼女の島』『ミッキーは谷中で六時三十分』『たぶん、おそらく、きっとね』『去年の夏、ぼくが学んだこと』、評論『日本語の外へ』、エッセイ『言葉を生きる』、写真集『私は写真機』ほか著書多数。