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八月は冷たい城
ハチガツハツメタイシロ

夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。ともに城を訪れたのは、二年ぶりに再会した幼馴染みの卓也(たくや)、大柄でおっとりと話す耕介(こうすけ)、唯一、かつて城を訪れたことがある勝ち気な幸正(ゆきまさ)だ。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つのひまわりの花だった。少年たちの人数と同じ数――不穏な空気が漂うなか、三回鐘が鳴るのを聞きお地蔵様のもとへ向かった光彦は、茂みの奥に鎌を持って立つ誰かの影を目撃する。閉ざされた城で、互いに疑心暗鬼をつのらせる卑劣な事件が続き……? 彼らは夏の城から無事に帰還できるのか。短くせつない「夏」が終わる。
書誌情報
紙版
発売日
2016年12月20日
ISBN
9784062203456
判型
四六変型
価格
定価:2,530円(本体2,300円)
ページ数
244ページ
初出
「メフィスト」 2013 vol.1、vol.3/2014 vol.1、vol.3/2015 vol.1~vol.3/2016 vol.1
著者紹介
著: 恩田 陸(オンダ リク)
1964年宮城県生まれ。第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』で92年にデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞、2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞長篇および連作短編部門賞を受賞。近著に『夢違』『夜の底は柔らかな幻』『EPITAPH東京』『ブラック・ベルベット』『消滅 - VANISHING POINT』『タマゴマジック』などがある。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジーなどあらゆるジャンルで、魅力溢れる物語を紡ぎ続けている。
兵庫県生まれ。東京芸術大学美術学部油絵科卒。『ゆきがやんだら』はオランダで銀の石筆賞を受賞。2004年『きつねのかみさま』(文:あまんきみこ)で第9回日本絵本賞、2005年『金曜日の砂糖ちゃん』でブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌賞、2006年『ぼく おかあさんのこと…』でフランスにてPITCHOU賞、オランダにて銀の石筆賞、2009年『くまとやまねこ』(文:湯本香樹実)で第40回講談社出版文化賞を受賞。作品に『よるくま』、『ロンパーちゃんとふうせん』『BとIとRとD』『はんなちゃんがめをさましたら』などがある。絵本のほか、書籍の装画など幅広い分野で活躍をしている。