僧兵=祈りと暴力の力

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僧兵=祈りと暴力の力

ソウヘイイノリトボウリョクノチカラ

講談社選書メチエ

「霊験」への帰依、異界への畏れ、俗世の「道理」を超えた論理
彼らはなぜ恐れられたか

祈りによって人々に安心と喜びをもたらす、仏法の徒たる僧侶たち。しかし、中世という時代がはじまるにつれて、彼らの中には武器をとって、合戦を引きおこし、人々に恐怖を与えた者たちがあらわれた。暴力と祈りの力をあわせもつ彼らは、いかなる原理のもとに行動したか。比叡山延暦寺を舞台に、多彩な「悪僧」たちが跋扈し、「冥顕の力」をもって世俗権力、社会とわたりあう姿を描き出す!

【目次】
序――祈りと暴力の中世史
第1章 悪僧跋扈の時代
第2章 冥顕の中世
第3章 天台仏法の擁護者・良源
第4章 恠異・飛礫・呪詛
第5章 霊験と帰依
第6章 都鄙を闊歩する大衆・神人
第7章 強訴とはなにか
第8章 善なる大衆の時代へ
結――中世と現代の間


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目次

序 祈りと暴力の中世史
第一章 悪僧跋扈の時代
1比叡山の悪僧たち
長治の「山上合戦」/貞尋 老境の大衆張本/「僧兵」 論/法薬 合戦を好んだ悪僧/都鄙にわたる悪僧の活動/良心と仁誉 多度神宮寺をめぐる攻防/三綱につく悪僧/政所下文の発給/寛慶 天台座主になった悪僧/門流利害の相克
第二章 冥顕の中世
1《冥顕の力》
違勅・不善・冥顕/「意見封事十二箇条」の現実/僧尼令的秩序/私度僧をどうみるか/中世寺院の成立/仏教の社会化、社会の仏教化
2 将門・道真・志多良神
承平・天慶の乱の衝撃/道真の怨霊がもたらす恐怖/天台宗と摂関家/密教修法による護り
第三章 天台仏法の擁護者・良源
1「護法」の論理
延暦寺の発展/門流の発展基盤/「二十六箇条起請」の制定/良源は「僧兵」の産みの親か/「僧兵」論再び/堕落は暴力につながるか/「護法」の歴史的背景
2「護法」の実践
円珍の憂慮/初の延暦寺強訴/良源の弁明/祇園社の末寺化事件/寺院武力と「兵の家」/祇園社の末寺化、その後/天台仏法の擁護者
第四章 恠異・飛礫・呪詛
1慈覚・智證両門の抗争
良源の後継者・尋禅/智證門徒余慶の座主就任/永祚宣命事件/智證門徒の離山/「恠意」の原因
2飛礫と呪詛
恠異から神威へ/道長への「飛礫」/飛礫は「三宝の所為」/道理を越える大衆/世俗の「道理」、仏法の「非理」/僧による僧への呪詛
第五章 霊験と帰依
1在地社会と仏法
受領と苛政上訴闘争/「尾張国郡司百姓等解」にみる仏法/護法神・講読師・「帝皇」の祈り/在地社会の宗教的状況/「鼻」の禅智内供/読誦の名手、説法の上手/泣かせる説法、笑わせる説法
2霊験を求める人々
霊験による帰依獲得/都の高僧を求める/帰依をめぐる都鄙のつながり/宗教的価値観の共有/荒廃する在地寺院/檀越が示す解決策/霊験定着の二類型/霊験の「永久保存」
第六章 都鄙を闊歩する大衆・神人
1神仏の恐怖
橘恒元の起請文/生活に入りこむ神仏の恐怖/「山門使」のリクルート活動/神威を体現する神人・寄人/神威の利用法
2「大衆」と号する
「衆勘」の成立/東大寺領紀伊国木本庄/「大衆」と号する悪僧
第七章 強訴とはなにか
1強訴をどうみるか
『春記』にみる座主補任問題/教円の陰謀?/強訴は「狂暴濫行」か/中世仏教をどうみるか
2強訴の歴史的性格
強訴の暴力性/大衆を射るべからず/延暦寺と園城寺が手を結ぶ/膠着する大衆と武士/強訴の政治的柔軟性/不本意な戦闘/強訴における武力の否定/朝廷は何を恐れたか
第八章 善なる大衆の時代へ
1道理の衝突
師通と大衆 道理の衝突/世俗を超越する仏法の「道理」/神輿を憚るべからず/都鄙にわたる神輿動座/衆威 人間を越える力
2大衆が生み出す悪僧
「悪僧」という言葉/中世の「悪」とは/保元新制にみる悪僧・神人/「悪僧」とは
3神事違例・仏法破滅
神事ができない!/危機感をあおる/「如法如説」への回帰/獅子身中の虫
結 中世と現代の間

索引

書誌情報

紙版

発売日

2010年11月11日

ISBN

9784062584852

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

通巻番号

484

ページ数

244ページ

シリーズ

講談社選書メチエ

電子版

発売日

2015年07月24日

JDCN

0625848500100011000I

著者紹介

著: 衣川 仁(キヌガワ サトシ)

1971年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程国史学専攻研究指導認定退学。徳島大学総合科学部准教授。専攻は、日本中世史 (中世社会と仏教について)。 主な著書に、『中世寺院勢力論――悪僧と大衆の時代』などがある。

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