アメリカ　異形の制度空間

アメリカとは単なる地名でもなければ国名でもない。キリスト教旧世界が新たな大地に作り出した制度空間の名である。1492年、コロンブスにその一端が「発見」された新天地。西洋から見て「無主の地」は「法的所有」の対象となった。征服と植民により獲得され拡大する新世界。そこに教会・旧制度から逃れるように＜自由＞と＜個人の自立＞の観念が生い茂る。今や世界の隅々に浸透しているその根強い規範性の由来を探る。

目次

第一章　「アメリカ」という呼称
第二章　＜自由＞の前史
第三章　キリスト教世界の転換
第四章　所有にもとづく＜自由＞
第五章　独立革命と合州国の拡大
第六章　＜自由＞の空間としての「西半球」
第七章　＜自由＞の繁茂と氾濫
補　論　＜自由主義＞の文明史的由来

書誌情報

紙版

• 発売日: 2016年10月12日
• ISBN: 9784062586375
• 判型: 四六
• 価格: 定価：1,870円（本体1,700円）
• 通巻番号: 634
• ページ数: 272ページ
• シリーズ: 講談社選書メチエ

電子版

• 発売日: 2016年10月28日
• JDCN: 0625863700100011000P

著者紹介

著： 西谷　修（ニシタニ　オサム）

1950年生まれ。東京外国語大学大学院教授を経て、現在、立教大学文学部特任教授。著書に『不死のワンダーランド』『戦争論』『夜の鼓動に触れる』『世界史の臨界』『「テロル」との戦争』などがある。