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昭和50年の食事で、その腹は引っ込む なぜ1975年に日本人が家で食べていたものが理想なのか
ショウワ50ネンノショクジデソノハラハヒッコムナゼ1975ネンニニホンジンガイエデタベテイタモノガリソウナノカ
- 著: 都築 毅

和食の健康効果は、今や世界中の研究者が認めるところだ。中でも1975年に日本人の摂っていた食事が、ずば抜けて健康効果が高いことが、東北大学の実験によって判明した。10キロのダイエット効果。2割もの寿命延長。ガン、糖尿病、動脈硬化、認知症などリスクの大幅な減少。髪や肌のアンチエイジング効果……。純日本風の粗食ではなく、多少欧米化した1975年の食事こそが、人類史上最強の長寿ダイエット食なのだ。
日本は現在、世界一の長寿国であり、それをもたらしたのは食生活であることは間違いない。多くの海外研究者もそこに着目し、和食についてさまざまな研究を発表している。
しかし、「和食」の定義は、実にあいまいだ。日本が長寿になったのは最近であり、高度成長期以前の、白米と味噌を主体とした純粋な和食は、決して体にいいとはいえない。カロリーと塩分が多く、カルシウムとたんぱく質が足りないからだ。
日本は、1979年にオランダ、ノルウェーを追い抜いて以来、世界一の長寿国である。それを支えているのは「和食」であることは、世界中の研究者が着目している。
しかし、「和食」はあまりに漠然とした概念だ。特に寿命が延びた戦後は、欧米化がいちじるしく、年代とともに「和食」も大きく変化している。
これでは、いつの「和食」が最も体にいいのか、わからない。
そこで私たち東北大学の研究チームは、厚生労働省の資料をもとに、1960年から2005年までの日本人の食事を、年によって比較する実験を行った。そして、最も健康効果が高く、老化を抑制し、長い寿命をもたらすのは、1975年の食事であるという結論を得たのだ。しかもそれは、一番肥満を抑えることもわかった。
75年の食事は、ほかの年と比べて、突出してすぐれていた。その結果は、私たち研究チームに大きな興奮をもたらしたほどだ。
それらはすべて遺伝子レベルで確認できた。代謝をよくする遺伝子や、老化を抑制する遺伝子が、飛びぬけて多く発現するのだ。
私は75年型食事を、「スーパー和食」と名付けようと思う。(「はじめに」より)
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目次
はじめに──「スーパー和食」で、我慢せずにやせられる
第一章 スリムと長寿の遺伝子をオンにする
当時の人は6キロもやせていた!
代謝を活発にする遺伝子が発現
寿命が100歳になる!
多少欧米化した和食こそ最強
第二章 和食は何が最強なのか
食材の少なさが和食の弱点だった
油のとりすぎに体が追いつかない
出汁こそ最高の減塩
第三章 このままでは、平均寿命が縮んでしまう
砂糖は太らない
情緒の安定を保つ食品
食べ合わせで効果は大きく変わる
アメリカで大人気のBENTO
サプリメントは体に悪い?
死を招くダイエット薬
飽食に耐性のない日本人
第四章 老化の速度は食が決める
日系移民の寿命が縮んだ理由
飽食で日本人は健康を損なった
カロリー制限と同じ効果
和食に自信を持てない日本人
肉と油は決して悪者ではない
食材を増やすだけでも効果は十分
新型栄養失調が増えている
極端なダイエットは老化を促す
消化機能は使わないと退化する
第五章 世界が認めた和食の健康効果
漠然としている和食の定義
日本は理想の食事をする唯一の国
歯の割合が食事内容と合致
日本人は和食の優秀さを知らない
日本で和食の研究が進まない理由
自分の体は自分で守るしかない
老化はがんを抑止する生物的戦略
書誌情報
紙版
発売日
2015年01月21日
ISBN
9784062728843
判型
新書
価格
定価:924円(本体840円)
通巻番号
ページ数
192ページ
シリーズ
講談社+α新書
電子版
発売日
2015年06月12日
JDCN
0627288400100011000R
著者紹介
1975年生まれ。東北大大学院農学研究科准教授。愛知県豊田市出身。東北大大学院農学研究科博士課程修了。宮城大食産業学部助手、同助教授を経て2008年から現職。専門は食品機能学。