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ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹
ヒトクイマジカルサツリクキジュツノニオウノミヤキョウダイ
- 著: 西尾 維新

生命を礼賛する行為には驚くほどに価値がない、生はどこまでも儚(はかな)く朧(おぼろ)で、死はどこまでも切なく幻だ。そしてそれはただそれだけのものでありそれだけのものでしかなく、むしろそこにそれ以上の価値を見出そうとすることこそが冒涜だ。生きること、そして死ぬこと、その両者の意味を誰よりも理解し、そしてその意味に殉ずることに一切の躊躇がない誠実な正直者、つまりこのぼくは、8月、縁故あって奇妙なアルバイトに身を窶(やつ)すことと相成った。それは普通のアルバイトであって、ぼくとしては決して人外魔境に足を踏み入れたつもりはなかったのだけれど、しかしそんなぼくの不注意についてまるで情状酌量してはくれず、運命は残酷に時を刻んでいく。いや、刻まれたのは時などという曖昧模糊、茫洋(ぼうよう)とした概念ではなく、ぼくの肉体そのものだったのかもしれない。あるいは、そう、ぼくの心そのものかーー戯言シリーズ第5弾
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目次
第一章 薄幸の少女(薄幸の症状)
第二章 人喰い(人喰い)
第三章 先立つ不考(裂き断つ不幸)
第四章 実体験(実験体)
第五章 癒えない傷(言えない傷)
第六章 不一致(which?)
第七章 戦場吊(千羽鶴)
第八章 執着癖(終着駅)
第九章 無意識下(無為式化)
第十章 壊れる最悪(喰われる罪悪)
終 章 真夏の夜の夢
書誌情報
紙版
発売日
2008年12月12日
ISBN
9784062762267
判型
A6
価格
定価:1,100円(本体1,000円)
ページ数
768ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2016年06月10日
JDCN
0627622600100011000D
初出
2003年7月、講談社ノベルスとして刊行。
著者紹介
1981年生まれ。2002年、『クビキリサイクル』にて第23回メフィスト賞を受賞、「京都の二十歳」としてデビューする。 竹 1983年生まれ。横浜在住。猫が好き。